騒乱のカザフスタン、進む現大統領への権力移行 多くの謎残したまま
年明けから全国規模の騒乱が続いた中央アジアのカザフスタンで、約30年にわたって国を支配してきたナザルバエフ前大統領から、トカエフ大統領への権力移行が急速に進んでいる。騒乱の真相など多くの謎を残したまま、ソ連崩壊後で最大の転機を迎えている。
騒乱の発端は、液化石油ガス(LPG)の価格自由化で小売値が急騰したことに抗議し、2日に西部で始まった市民のデモだ。瞬く間に全国に拡大し、最大都市アルマトイなどでは暴徒化した市民らと治安部隊が衝突。トカエフ氏は11日、「状況は安定した」と宣言したが、当局によると、警察官や兵士19人を含む225人が死亡したという。
トカエフ氏は内閣を事実上更迭し、燃料価格の上限撤廃を3カ月間凍結するなど沈静化を図った。一方で、「国家転覆を狙う、外国勢力を含むテロリスト」が暴動に発展させたとし、治安部隊による市民らの殺害の正当性を主張する。ただ、自然発生的に始まった抗議が、銃砲店や警察から奪った武器で政府庁舎などを襲撃するほど過激化した背景には謎も多く、地元のメディアや識者らの間では、トカエフ氏の失墜を狙った政権内の勢力が関与したとの見方が強まっている。
その根拠の一つが、騒乱のさ…
【視点】トカエフ現大統領がデモ鎮圧ではなくて自らの身を守るためにロシアなどに派兵を要請したという説は、タイミングなどからみて「なるほど」と思わせるものがある一方で、プーチン政権がどういう理由でそれに乗ったのかなど、疑問も残ります。 ナザルバエフ氏