長野で山岳遭難死増加、交通事故死上回る 県警「力量にあった山に」

高億翔
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 長野県警山岳安全対策課は、2021年に発生した山岳遭難が257件、276人だったと発表した。コロナ禍で登山客が減っていた2020年から74件、78人増と大幅に増えた。死者数も増加し、2020年の32人から47人に。同課は昨年の県内の交通事故死者数(45人)を上回る状況について、少なくとも過去10年で例がなく、「レジャーという“非日常”が、日常を上回ってしまった」として慎重な登山を呼びかけている。

 同課によると、コロナ禍2年目を迎えた昨年は、発生件数と遭難者数がコロナ禍以前の2019年(265件290人)と同水準になった。7月以降は、連休と週末を中心に登山者が増加したとみられるという。

 山域別では北アルプスが121件▽戸隠連峰や浅間山などを含む「その他の山岳」が74件▽八ケ岳連峰32件▽中央アルプス19件▽南アルプス11件となった。「その他の山岳」で登山者が増えた要因について、同課の櫛引知弘次長は「コロナ禍で著名な山にある山小屋の予約が取りづらくなったことや、混雑を避けようと登山者が分散した可能性がある」と分析する。

 9月の遭難発生は52件(前年比23件増)、過去10年で最も多かったという。8月の荒天が影響して登山者数のピークがずれたことや、連休中の天候が良かったことが要因と考えられるという。

 遭難者数では40~50代が全体の41・7%。60代以上は40・9%となった。県警山岳遭難救助隊の岸本俊朗隊長はコロナ禍を機に生まれたアウトドアブームについて「自身の運動能力が分かっていない人や、動画投稿サイトの映像を見て行ける気になってしまう人も多いと思う」と分析。「最初は経験者に連れて行ってもらうなど、力量にあった山に登っていただきたい」と話している。(高億翔)