「こんなことが起きるとは」 トンガ噴火で高知・徳島の漁船が転覆

清野貴幸、羽賀和紀、笠原雅俊、吉田博行
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 南太平洋のトンガ諸島で発生した大規模な噴火の影響で、16日未明に津波注意報が発令され、高知、徳島両県の沿岸部で潮位が上昇し、漁船など計33隻が転覆したり、流失したりする被害が出た。けが人の報告はないが、南海トラフ地震による津波被害が想定される両県の漁業関係者らは緊張感に包まれた。

 高知県内では16日未明、沿岸に津波注意報が出された。気象庁によると土佐清水市で90センチ、室戸市で80センチの潮位上昇を観測した。南国市は、堤防より海側と河口付近にいる人を対象に避難指示を出した。

 県によると、6市町の港湾で転覆や沈没などで計27隻の被害が確認された。自治体別では室戸市10隻、土佐清水市4隻、土佐市3隻、黒潮町5隻、四万十町4隻、東洋町1隻となっている。

 四万十町興津(おきつ)の小室漁港では、潮位の変動により漁船など3隻が転覆したという。うち1隻は波にさらわれ、数百メートル離れた砂浜に打ち上げられた。

 長男が所有する漁船が転覆したという男性は「午前1時ごろ町の防災無線が流れ、船が転覆していたのに気づいた。こんなことが起きるとは予想できなかった」。高知市から釣りに来た男性(72)は「堤防から見る海がいつもと違う。小さな波が立ち、いくつもの渦が巻いている。不気味だ」と海を見つめた。

 黒潮町の海岸近くで飲食店を営む女性(76)は「寝ていた深夜に激しく防災無線が流れた。本当に恐ろしかった」と話した。

 太平洋に突き出して建つ土佐清水市の「足摺海底館」は16日、津波注意報を受けて臨時休館した。

 徳島県内でも津波注意報が発令され、県南部で潮位の上昇が確認された。

 県によると、県南部の美波町由岐で50センチ、小松島市の小松島港で20センチの潮位の上昇をそれぞれ観測。阿南市は沿岸部に避難指示を出し、13世帯20人が避難所に一時避難した。小松島市によると、市内の公共施設に一時、12人が自主避難したという。

 海陽町によると、宍喰漁港に係留されていた小型漁船6隻が転覆や沈没するなどした。沖合の小型定置網も破損していたという。

 この日は大学入学共通テストの2日目の試験が実施されたが、高知、徳島両県の会場で開始時間が遅れるなどの影響はなかったという。(清野貴幸、羽賀和紀、笠原雅俊、吉田博行)