憧れ続けた祖父の化粧まわし、命日前についに披露 新入幕の若元春

松本龍三郎
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 新入幕の若元春は、この日を心待ちにしていた。念願の化粧まわしで、土俵入りがかなうからだ。

 福島市出身の28歳は、弟が幕内若隆景、兄が幕下若隆元。3人は「三矢の訓」を説いた戦国武将・毛利元就の息子たちにちなんだしこ名で、「大波3兄弟」として知られる。父親も元幕下力士、祖父は「足取り名人」の元小結若葉山、という大相撲一家で育った。

 次男の若元春にはずっと憧れがあった。「ちっちゃい頃から、かっこいい化粧まわしって言ったら“あれ”」。父が営むちゃんこ屋に飾られていた、祖父の化粧まわしだった。

 濃い紫色の生地に、金色の獅子頭。いつかこれを身につけ、幕内の土俵にあがりたい――。デザインを再現した新品が地元後援会から届き、翌日が祖父の命日というタイミングで、ついに夢はかなった。

 「おじいちゃんと同じ化粧まわしを締めるので、負けられない」と場所前に語っていた若元春。この日は小兵の石浦をはたき込みで破り、星を五分に戻した。

 「はたいてしまって褒められたものではない。星(勘定)は意識せず、内容重視でやってきているので」と不満顔。それでも、化粧まわしの話題になると「憧れだったので、すごくうれしい」と目を細めた。

 こだわりの逸品は「(祖父の時代の)生地を完全に再現というわけにはいかなかったですが、できるだけ近づけてもらった」という。化粧まわしだけでなく、力士としても、少しでも祖父に近づくつもりだ。(松本龍三郎)