全長10メートルの大型石室確認 国造の権力誇示か 豊橋市の古墳

本井宏人
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 7世紀前半に築かれた愛知県豊橋市石巻本町の口明塚(くちあけづか)南古墳で、全長約10メートルの大型横穴式石室が、市の発掘調査で確認された。古墳は東三河一帯を支配した「穂の国」国造(こくぞう)の墓と推定されている。柱や側壁には直径1メートルを超える石灰岩がふんだんに使われており、大工事を通じて権力を誇示したものと思われる。

 口明塚南古墳は直径23メートルの円墳で、国史跡・馬越長火塚(まごしながひづか)古墳群の3基のうち最後に築かれた。2008年の石室入り口付近の調査で金銅製品が出土し、他の2基に続く3代目の国造の墓と結論づけられた。今回は古墳群の整備計画づくりのため、昨年12月から大がかりに発掘したところ、全長約10メートル、最大幅と高さが約2メートルの石室が確認された。

 大型の石灰岩は、約2キロ離れた山から切り出したとみられる。「白く美しい壁で囲むことで、被葬者の威厳を示したのだろう」と、市文化財センターの岩原剛所長(53)。ただ、石材が大量に抜き取られた痕跡があり、内部は破壊されていた。地元では「豊橋市の吉田城の石垣に使われた」と伝えられており、戦国時代の築城に流用されたことも十分考えられるという。

 今回は、石室の底から高さ約20センチまでの層は発掘しなかったため、副葬品はほとんど出土しなかった。岩原所長によると、豪華な製品が底近くに収められている可能性は高いが、現状保存を優先して手をつけなかったという。発掘した上部や中層も今年2月に埋め戻し、柿畑に復元する。

 1月22日に現地見学会があり、馬越町集会所で午前9時半~午後2時に受け付ける。県内最大の横穴式石室がある馬越長火塚古墳などを合わせてめぐるウォーキングイベントもある。問い合わせは市文化財センター(0532・56・6060)へ。(本井宏人)