明日へのLesson 2006年度東京大学・世界史第1問と解答例

[PR]

2006年度東京大学・世界史第1問

 近代以降のヨーロッパでは主権国家が誕生し、民主主義が成長した反面、各地で戦争が多発するという一見矛盾した傾向が見られた。それは、国内社会の民主化が国民意識の高揚をもたらし、対外戦争を支える国内的基盤を強化したためであった。他方、国際法を制定したり、国際機関を設立することによって戦争の勃発を防ぐ努力もなされた。

 このように戦争を助長したり、あるいは戦争を抑制したりする傾向が、三十年戦争、フランス革命戦争、第1次世界大戦という3つの時期にどのように現れたのかについて、解答欄(イ)に17行(注:510字)以内で説明しなさい。その際に、以下の8つの語句を必ず一度は用い、その語句の部分に下線を付しなさい。

 

ウェストファリア条約

国際連盟

十四カ条

戦争と平和の法』

総力戦

徴兵制

ナショナリズム

平和に関する布告

解答例

 宗教対立から勃発した三十年戦争では、戦時中に傭兵(ようへい)の略奪が横行した。この戦禍の中、グロティウスは『戦争と平和の法』で自然法に立脚した国際秩序を説いた。ウェストファリア条約で主権国家体制が確立し宗教戦争は抑止されたが、その後絶対君主のもとで常備軍が組織され、国益をめぐる戦争は激化した。フランス革命で絶対君主が打倒されると、諸外国は反革命の対仏大同盟を結成し、革命政府は、ナショナリズムに覚醒した国民を徴兵制で統率した。ナポレオン戦争では征服地域でも国民兵が組織され戦死者が増加したため、ウィーン体制では勢力均衡と正統主義の立場でナショナリズムを抑圧した。その後、帝国主義列強の対立などから第1次世界大戦が勃発すると、工業化を進めた各国民国家が総力戦体制をとり、女性も銃後に動員された。科学技術と兵器開発が結びつき、さらに犠牲者は激増した。厭戦(えんせん)感情からロシアとドイツは革命で自壊し、ロシアの社会主義政権は平和に関する布告に基づき大戦を離脱し、金融資本や帝国主義を大戦の原因として批判し世界革命を唱えた。一方、合衆国のウィルソンによる十四カ条に基づき成立した国際連盟は、資本主義体制下で集団安全保障を通じて戦争の抑止を図った。(510字・坂本新一さん作成)

大学入学共通テストのニュースはこちら

大学入学共通テストのニュースはこちら

最新ニュース、時間割、受験生応援企画などをお届け。試験当日は問題と解答を速報します。[記事一覧へ]