水島新司さんは名監督だった 連続敬遠・水原勇気・夢の対決……

有料会員記事

黒田健朗
[PR]

 「気は優しくて力持ち」ドカベン・山田太郎、「よれよれ18番」野球狂の詩・岩田鉄五郎、「酒仙打者」あぶさん景浦安武……。10日に82歳で亡くなった水島新司さんのファンタジーとリアリティーが絶妙に入り交じった野球漫画に、多くの漫画ファン、野球ファンは酔いしれた。

 1972年に少年漫画誌で連載が始まった代表作「ドカベン」は、当時全盛だったスポ根とは一線を画す作品だった。豪快な悪球打ちを見せる岩鬼正美や、「白鳥の湖」など奇抜な秘打(ひだ)を繰り出す殿馬一人ら個性あふれる選手たちを擁する神奈川・明訓高校が舞台。主人公の捕手山田太郎は「甲子園通算打率7割5分」とも言われる豪打のほか、強肩や頭脳でチームを勝利に導き、高校時代の3年で春夏計4回の甲子園優勝を果たす。

 キャッチングやリードの妙で勝負したり、知られざるルールに着目したり。精神論だけに頼らない、理論的な描写が野球少年たちを引きつけた。2007年の本紙インタビューで水島さんは「ドカベンを読んで、野球は面白いという子が増えた。山田にあこがれて捕手をやりたいという子も増えた。どれも、それまでなかった反響でした」と振り返っている。

 先見性もあった。ドカベンで描かれた甲子園での山田太郎の5打席連続敬遠は、後に松井秀喜さんによって現実のものとなった。中西球道や不知火守ら水島作品の投手が作中で160キロ超の球速を記録したことは、大谷翔平選手ら現実の豪速球投手たちの登場を予見していたかのようだ。

 「人気のセ、実力のパ」と言…

この記事は有料会員記事です。残り493文字有料会員になると続きをお読みいただけます。