「嫌われていた島」が「インスタ映え」 島のカフェから広がる輪

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高木智子
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現場へ! 「隔離」を伝える④

 大きな窓の向こうに光を受けた瀬戸内海が輝く。カキを養殖するいかだが浮かび、小豆島を望む。

 「インスタ映えする」と口コミで評判のカフェが、岡山県瀬戸内市の長島にある。長年、わずか30メートルしか離れていない対岸に橋がかけられなかった島だが、いまは楽しみに渡ってくる人がいる。

 「嫌われていた島だから、隔世の感がある」というのは、長島で、ハンセン病の隔離の歴史を伝える学芸員、田村朋久(45)だ。

 「喫茶さざなみハウス」は2019年の夏にできた。オーナーの鑓屋(やりや)翔子(33)が常連の中尾伸治(87)に「オンライン会議で海を映したら、みんな感激しますよ」と水を向けると、中尾は「いっちょ、やってみるか」と笑った。

 中尾は奈良出身。病になって、鉄道とトラック、船を乗り継ぎ、国立療養所「長島愛生園」に入ったのは14歳になる年だ。隔離を定めた「らい予防法」が1996年に廃止されても、もうふるさとに戻ることはできない。ただ、めいと連絡をとれるようになったことが、うれしい。早く会ってゆっくり話したいと願いつつ、隔離の歴史を残し、伝える活動に力を注ぐ。

 かつては喫茶店もない島だった。使われなくなった施設をリノベーションして交流の場をつくれないか、中尾は考えていた。手を挙げたのが鑓屋だ。高校まで岡山で育ち、店を営みたいと思っていたが、愛生園を知らず、島に足を踏み入れたこともなかった。

 「人が来ない島で店を開いて…

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