中国の出生数、建国以来最少に 今年から人口減少が始まる可能性
中国国家統計局は17日、2021年の出生数が1062万人だったと発表した。1200万人だった20年から約12%減り、1949年の建国以来最少となった。中国でも人口減少社会の到来が目前に迫っていることが明らかになった。
総人口は前年比微増の14億1260万人。中国で最も出生数が少なかったのは1961年の1187万人で、毛沢東が58年に発動した「大躍進」政策後、3年間にわたる大飢饉で餓死者が相次いだ。
その後、毎年2千万~3千万人が生まれるベビーブームが続いたが、79年から人口増加を抑制するため「一人っ子政策」を導入した。
だが、経済成長に伴って女性の社会進出や価値観の多様化、教育費の高騰などが重なり、少子化が加速。15年に一人っ子政策の廃止を決めたが、少子化の流れは止まらず、20年には1200万人まで出生数が減少。共産党指導部は3人目の出産解禁に加え、子育て支援の法整備に着手した。
ただ、都市部を中心に高止まりした不動産価格や激しい受験競争などから、家庭にのしかかる金銭的、心理的な負担から「3人目を生むなんてあり得ない」(北京市の30代の中国人女性)との声は根強い。
一方、国家統計局が17日に発表した21年の65歳以上人口は建国後初めて2億人を超えた。
中国国内でも人口減少・高齢化社会到来への危機感は強まっている。人口問題の専門家である何亜福氏は昨年、「いつ人口減少が始まるのか。私の予測は22年ごろだ」とする文章を発表。党機関紙・人民日報などの主要国営メディアも人口減少が近く始まるとする記事を取り上げるようになった。労働力人口が減少すれば、中国経済の成長鈍化は避けられず、日本を含む世界経済にも深刻な影響を及ぼしかねない。(北京=西山明宏)