大阪市北区のクリニックで25人が犠牲になった放火殺人事件で、消防や医療機関の当日の活動状況が判明した。119番通報の3分後には救助隊が到着。7病院から医師らも急行し、延べ約300人が救命を目指したが、多くが死亡した過酷な状況が浮かんだ。
事件発生から17日で1カ月。朝日新聞は当日の活動を記録した大阪市消防局と大阪府の資料を入手した。
雑居ビル4階のクリニックで谷本盛雄容疑者(61)=一酸化炭素(CO)中毒で死亡=がガソリンをまき、火をつけたとされるのは昨年12月17日。最も早い119番通報は午前10時18分だった。火が放たれた直後とみられる。
3分後には現場の北東約150メートルにある梅田出張所から、要救助者を探す「救助隊」が到着。消火隊の延べ16隊も続き、うち1隊は通報9分後にビル外側から放水を始めた。別の消火隊1隊は、階段の上にホースを伸ばしながらビル4階まで上がり、通報の12分後にはビル内部からも4階への放水を始めた。
消防車両の出動は延べ80台で、延べ261人の隊員が活動。出動指令は第35次に及んだ。
放火された4階で、隊員が最初に要救助者を抱えられたのは通報の21分後。以降1~2分の間を置かず、傷病者は続々と地上に下ろされた。自力で避難した人を除く4階の27人(谷本容疑者を含む)全員の救出完了は同11時17分。通報から1時間以内だった。
医療機関への搬送などをする「救急隊」も、ビル周辺の救護所などで救助された人の救命救急処置にあたった。
大阪急性期・総合医療センタ…