郵便局長会「不適切指示」でも処分免れる恐れ 顧客狙って政治活動

藤田知也
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 郵便局の顧客を狙って政治活動の支援者獲得を求める指示が全国郵便局長会の複数の地方組織で出ていた問題で、日本郵便が対象地域の統括局長全員に指示の有無や状況を確認していないことがわかった。同社は現場の局長から申告があれば、統括局長らを調べるとしているが、不十分な調査で不正を促した幹部らが処分を免れる恐れがある。

 顧客を狙った政治活動の指示は、朝日新聞が昨秋に報じた複数の地方郵便局長会の資料に記されていた。参院選自民党候補として立てる組織内候補の得票につなげるため、接客や営業に合わせた支援者の物色や信頼構築を求める内容だ。日本郵便はそうした不適切な指示があったことは確認したとしている。

 統括局長は100前後の郵便局を束ねる役職。同社によると、同時期に発覚したカレンダーの流用問題では、全ての統括局長に指示の状況を確認し、約4割の90人を処分した。一方、顧客を狙った指示の調査では同様の確認をしていない。このため、同社は不適切な指示をしながら処分されていない統括局長らがいる可能性があると認めている。

 中国地方会は一昨年、支援者獲得に向けた「窓口来訪者の記録」「窓口での積極的な声かけ」を活動方針としていた。近畿地方会でも、局内ロビーでの声かけで1週間3人の支援者を獲得し、リスト化して投票行動をランク付けするよう指示が出ていた。東北地方会は支援者でない世帯を事業PRで訪ねて信頼を得るよう求めていた。

 日本郵便が先月実施した現場の局長向けアンケートでは、計705人が顧客情報の流用や業務中の政治活動があったと認めた。同社はこうした事例を中心に、統括局長らからの指示の有無を含む詳しい指示内容やパワハラなどの状況を調べるとしている。

 だが、朝日新聞の取材では、顧客情報を流用していてもアンケートで申告しなかった局長や、不適切な指示を受けても従わなかった局長もいる。こうした局長が口をつぐんだままでは、顧客情報の流用につながる指示をした統括局長らも処分を逃れられることになりそうだ。(藤田知也)