第1回マスクやワクチンも政争の具 「非トランプ」では癒やせなかった分断

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ワシントン=合田禄、大島隆
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バイデン政権1年㊤

 「私たちは一つの国であり、分かつことはできない」

 米議会襲撃事件から1年の6日。バイデン大統領は事件が起きた連邦議会議事堂から、国民に向かって団結を呼びかけた。

 トランプ政権時代に一層進んだ社会の分断を癒やし、団結に向かう。そう訴えてきたバイデン氏は20日で大統領就任1年を迎えるが、亀裂が修復される兆しはない。

 象徴が新型コロナ対策をめぐる国内の分断だ。

 昨年12月14日、米東部ペンシルベニア州ハリスバーグの州議会議事堂前に100人以上が集まった。「ワクチン義務化を止めろ」「医療の自由を」などと書いたボードを掲げている。

 主催した共和党のマストリアーノ州議会議員が「選ぶ権利の問題だ」と語気を強めると、大きな歓声があがった。民主党と共和党が競り合うペンシルベニア州では、民主党知事の新型コロナ対策への反発が根強い。ワクチン義務化を禁止する法案を州議会に出したマストリアーノ氏は、その急先鋒(きゅうせんぽう)だ。

 集会に参加した看護師のジェニファー・カタリさん(41)は「自分の職を守るために今日は参加した」という。勤めている医療機関は職員らに接種を義務付け、期限までに打たないと解雇される。接種しない理由については、「ワクチンは感染したときに症状をやわらげるだけで、ウイルスを完全に取り除くものではない。私は必要だとは思わない」と語った。

 別の参加者で、地元の教育委員会で働くアイリス・ケールさん(42)は取材に「トランプ氏はよい大統領だったのに、バイデン大統領はトランプ氏が打ち出したことを覆しているだけだ」と言い切った。

 バイデン政権は昨年1月の発足後、世界に先駆けて確保したワクチンの国民への接種を進めた。しかし、各国に先行していたワクチン接種を完了した人の割合は63%と伸び悩み、日本の78・6%を大きく下回る。

デジタル連載「バイデン政権1年」

社会の分断を癒やし、団結を――。そう掲げてバイデン政権が発足して1年。見えてきたのはマスクやワクチンすら政争の具にしてしまう米国社会の亀裂の深さでした。その分断は民主党と共和党との間だけに留まらないようです。

 原因の一つとして指摘されて…

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    沢村亙
    (朝日新聞論説委員=国際政治、歴史)
    2022年1月23日18時40分 投稿
    【視点】

    最近、civil war (内戦)とかSecond Civil War(第2の南北戦争)といった物騒な言葉が米国では飛び交っている。これには二つの意味があるように思える。まず、分断が極まった結果、もはや対話によっては解決せず、暴力でしか決着

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    三牧聖子
    (同志社大学大学院准教授=米国政治外交)
    2022年1月19日12時49分 投稿
    【視点】

    バイデン肝入りのビルド・バック・ベター法案は「社会主義への道」と批判する共和党議員、「我々の社会を劇的に変化させてしまう」と難色を示す民主党マンチン議員によって成立を阻まれてきた。マンチン議員によれば同法案は、中露が突きつける地政学的な脅威