「これからも姉と二人三脚で」 田代作人さん、震災遺族代表の言葉

鈴木春香
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 阪神・淡路大震災で姉を亡くした大阪府茨木市のシンガー・ソングライター、田代作人さん(37)が17日、神戸市東遊園地で開かれた追悼式典で、遺族代表として追悼の言葉を述べた。姉への思いを歌った曲をきっかけにデビューし12年目。「これからも姉と二人三脚で」と誓った。

 姉の西田瑞恵さん(当時17)は5人きょうだいの一番上。学校の先生になることを夢見て勉強を頑張り、アルバイトや家の手伝いにも積極的なしっかりした姉だった。震災前夜、ささいなことでけんかし、口をきいてもらえないまま床に就いたことをいまも悔いている。

 当時、神戸市東灘区に住んでいた。ゴオオオ……という地鳴りとともに来た大きな揺れ。家は崩れ、がれきの中から助け出された姉は近くの診療所に運ばれた。だが、診察室から出てきた母は首を振り、言った。「あかんかった」

 震災後、経済的な事情もあって家族はばらばらになった。歌手を目指したがうまくいかず、気持ちがふさいだとき、ふらりと兵庫県加古川市にある姉の墓に立ち寄った。そのときに浮かんだ姉への思いをつづった曲「Dear Sister」が、メジャーデビューへの扉を開いた。

 以来、生死や家族、愛をテーマに歌い続けてきた。関西の学校を中心に、震災学習や生命の授業という形で請われ、歌を交えて震災の体験を伝える「弾き語(がた)り部(べ)」もする。

 昨年には「片道切符のカムパネルラ」という曲を作った。姉が亡くなった翌日、家族が口々に「姉の夢を見た」と言っていたのを思い出して作った曲だ。時が経ち、夢の内容もあいまいななか「こんな夢だったらいいな」と思う内容を歌詞にした。

 原点となった曲「Dear Sister」も遺族代表を引き受けたのを機に録音し直した。歌の技術は上がったが、歌にこめる気持ちは変わらない。

 「姉の後押しがあったからこうして歌い続けられている。これからも応援してくれ、って思っています」

 17日は追悼行事の後、会場で「Dear Sister」を歌った。「この場所でこの日を迎えられたことに感謝しています」。今後、震災を伝える活動をさらに積極的にしていくと決意した。(鈴木春香)