軽井沢のバス事故、運転手は「未熟だった」 車両実験担当者が証言

高億翔、遠藤和希
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 2016年に長野県軽井沢町で15人が死亡したスキーバス転落事故で、業務上過失致死傷罪に問われたバス運行会社長ら2被告の第3回公判が17日、長野地裁(大野洋裁判長)であった。争点の一つとなっているバス運転手の技量について、バス製造会社員が「未熟だと思う」と証言した。

 事故は16年1月15日午前1時50分ごろ、軽井沢町の国道18号で発生。大学生らのスキー客を乗せたバスが下り坂でカーブを曲がりきれず崖下に転落。15人が死亡、26人が負傷した。

 起訴されているのは、運行会社「イーエスピー」(東京都)社長の高橋美作被告(60)と、運行管理者だった元社員の荒井強被告(53)。検察側は起訴状や冒頭陳述で、荒井被告が、死亡したバス運転手が大型バスの運転を4年半以上していないことを知りつつ雇用し、その後も適切な訓練を怠ったと主張。高橋被告も、運転手の技量を把握しなかったとしている。

 一方、被告側は、死亡した運転手が技量不足だとは認識しておらず、事故を起こすような運転を予想できなかったと起訴内容を否認し、無罪を主張。公判では、運転手の技量や、同社の安全管理態勢の適否などが争点になっている。

 17日は証人尋問があり、検察側の証人として、このバスを製造した三菱ふそうトラック・バスの車両実験担当社員が証言した。事故後の捜査当局による走行実験にも関わった同社員は、事故当時、バスのギアがニュートラル状態だったとされる点について、運転手が下り坂途中で低いギアに入れようとして失敗し、エンジンブレーキの利かない状態でハンドル操作にかかりきりになっていたと推測。「(技量が)未熟だったのだと思う」と証言した。また、設計上、事故の衝撃でギアが変わることはないとも述べた。

 一方、弁護側は公判で、運転手が事故時にブレーキ操作をしていなかったとし、「初歩的な操作をしないとは予見できない」と主張している。17日の尋問で、峠の頂上から事故現場までフットブレーキを踏み続けた場合にブレーキが利きにくくなる現象が起こりうるかどうか尋ねると、同社員は「(距離から考えて)可能性はないと思う」と証言。フットブレーキで減速できた可能性を示唆しつつ、蛇行や急勾配のある道の特徴を「運転手がよく知らなかったのでは」とも述べた。

 同社員は裁判長からの質問にも、ブレーキ痕が見つかった事故現場にバスが至る直前まで、運転手がブレーキを踏んでいなかった可能性があると述べた。(高億翔、遠藤和希)