「一生許せない」被害者家族ら陳述 千葉・八街の5人死傷事故の公判

多田晃子、石垣明真、上保晃平
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 千葉県八街市で昨年6月、飲酒運転のトラックにより児童5人が死傷した事故の千葉地裁での公判。出廷した被害者の家族らは17日の意見陳述で、自動車運転死傷処罰法違反(危険運転致死傷)罪に問われた無職梅沢洋被告(61)に怒りをぶつけ、厳正な判決を求めた。3月2日に検察側の論告求刑と被告の最終陳述、弁護側の弁論が予定されており、判決は同月25日に言い渡される。(多田晃子、石垣明真、上保晃平)

「犯した罪の重大さを理解していない」

 亡くなった朝陽小2年川染凱仁(かいと)さん(当時7)の父親は、「一生、被告人を許すことが出来ません」と語気を強めた。事故後、凱仁さんの姿がない家の中は静かで、「騒がしさが幸せだった」。妻は息子の生前の写真を見て泣いていることが多いという。

 息子から返事が返ってこない寂しさや、抱き上げられない悲しみが分かりますか――。そう何度も被告に問いかけた。被告の公判での言動にも触れて、「犯した罪の重大さを理解していない」と指弾した。

 さらに、「自分は運が悪かったと思い、同じことを何度も聞かれて面倒だなと考えていませんか」と追及。飲酒運転しないというルールを守らず、「殺意は無くても人を殺しているのと同じこと」と訴えた。

 事故で一時重体になった女児(8)の父親は、「(娘は)これから先も元の生活に戻れないと思います。絶望するかもしれません」と述べた。事故当日の夜に病院の集中治療室で見た娘の姿は、「顔を包帯でぐるぐる巻きにされ、見る影もなかった」と振り返る。

 将来、学校の先生になりたいと言っていた娘は、事故で頭蓋骨(ずがいこつ)骨折などを負い、嗅覚(きゅうかく)も失った。手術やリハビリなどで言葉を発するまで回復したが、高次脳機能障害が残り、不整脈もあり、走ることも出来ないという。

 被告に対して、「あまり反省しているように見えず、うそをついているようにも見える」「今まで幸せだった日常を返して欲しい。少しでも重い罪で裁かれることを望みます」と締めくくった。

 重傷を負った男児(8)の母親は、男児が事故後、毎日何かにおびえるようになった、という。ご飯もあまり食べられず、救急車のサイレンなど大きな音やトラックなどを怖がり、学校にも通えていないと話した。

 兄と姉はスクールバスに乗るのを怖がり、母親が車で小中学校まで送迎をしているという。母親自身も事故のフラッシュバックで立ち寄れなくなった場所があるなどとした。

 被告には「一番重い刑期を望む」としたうえで、「子どもたちや被害者家族の悲しみや苦しみを一生償い続けることを強く望みます」と訴えた。

     ◇

 弁護側からは、被告が作成した「反省文」が証拠として提出された。弁護人によると、被告は文章のなかで「原因はすべて私個人にある。本当に申し訳ないことをしてしまった」と表現。もし自分が被害者やその親であったら、「何度頭を下げられても許すことは出来ません。どんなことをされても許さないと思います」「足らないと思いますが、これぐらいしか今は考えられません」などと記述しているという。