22年度の消費者物価、1.1%増の見通し 資源価格高騰で引き上げ

徳島慎也
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 日本銀行は18日、2022年度の消費者物価指数の上昇率の見通しを前年度比1・1%とし、21年10月の前回見通しより0・2ポイント引き上げた。資源価格の高騰などが理由だ。しかし、23年度でも目標の2%には届かないとみて、国債の大量購入などの大規模な金融緩和の枠組みは維持するとした。

 この日の金融政策決定会合で決めた「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で示した。14年10月以降、「下振れリスクが大きい」としてきた物価の見通しも、「おおむね上下にバランスしている」という中立の表現に変えた。翌年度の上昇率の見通しが1%を超えるのは、コロナ禍前の19年10月以来となる。

 見通しを変えた最大の理由は、欧米経済の回復で原油などの資源価格が高騰していることだ。今後、様々な商品やサービスの値上がりにつながるとみている。昨春以降、物価上昇率を1・1%幅ほど押し下げていた国内の携帯電話の通信料値下げの影響が22年4月以降なくなることも要因だ。

 しかし、物価の上昇に勢いはなく、この日同時に公表した23年度の物価上昇率は22年度と同じ1・1%と、目標の2%に届かないとした。景気認識は、新型コロナの影響が徐々に和らぎ、「持ち直しが明確化している」と判断を上方修正し、22年度の実質GDP成長率の見通しは21年10月時点を0・9ポイント上回るプラス3・8%とした。だが、これも23年度は減速するとみている。

 日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁はこの日の会見で「物価上昇が家計の心理に悪影響を及ぼさないか注視していく必要がある」としつつも、「資源価格の上昇を主因とする物価上昇は、一時的にとどまり持続的なものにはなり得ない」と説明。経済を支えるため、いまの大規模な金融緩和を当面続ける考えを示した。

 しかし、インフレが加速している米欧の中央銀行は金融緩和の縮小に動いている。このため、日米の金利差が広がって円安がさらに進めば、資源の多くを輸入に頼る日本では物価がさらに押し上げられる可能性がある。一方で、日銀が目指す「いい物価上昇」のカギとしている賃金上昇の動きは弱い。実質賃金指数は21年11月に前年同月比1・6%減少し、3カ月連続で前年を下回る。賃金が上がらない中、物価上昇に消費者がついて行けず、景気を冷やす懸念も高まっている。(徳島慎也)