悩みに悩んで大学の窓口に相談したのに、その対応に再び傷ついた――。ハラスメントの被害者がこう訴える背景には、加害者より立場が弱いことが多い上、密室で起きたことを証明しにくい現実がある。不祥事でも事実関係を調べ、被害者も納得する解決法を示すためには、外部の目を入れることが大切だと専門家は指摘する。(藤波優、杉浦奈実、小川詩織)
2010年以降に朝日新聞が報じた大学や大学院で起きたハラスメント関連の訴訟は、約40件あった。10年代前半は年2~3件だったが、最近は年5件前後と、年々、増える傾向にある。
大学のハラスメント対策が本格的に始まったのは、ここ20年のことだ。
文部科学省の18年度の調査によると、全国の99・7%の大学がハラスメント防止に取り組み、相談窓口も99・3%が設置していた。
「企業に比べガバナンスが効かない」
一方でその運用方法に基準は…