「コロナ禍で公演半減」名古屋のクラシック専用ホールが閉館へ
著名な音楽家からアマチュアまで幅広く利用され、音楽ファンに親しまれてきた名古屋・伏見の「三井住友海上しらかわホール」が2024年2月末に閉館する。
所有する三井住友海上火災保険が18日、発表した。同社は「文化貢献事業として続けてきたが、経営状況や維持費などを勘案して閉館することにした」としている。
オフィス街の伏見の中にある同ホールはクラシック音楽専用で、1994年に住友海上(当時)の創業100年記念事業として建設された。
間口が狭く、天井の高い長方形で「理想の音響空間」とも言われる「シューボックス(靴箱)」スタイルを採用。1階と2階、サイドバルコニー席合わせて計700席のホールだ。
地元のアマチュアの合唱コンクール、ピアニストの辻井伸行やバイオリニストの古澤巌、シンガー・ソングライターで俳優の中川晃教ら様々な音楽家のコンサートが開かれてきた。
チェリストの堤剛は、昨年9月に同ホールで「無伴奏チェロ・リサイタル」を開いた時のインタビューで、「バッハの聴いてきたような音の響きを聴いてもらえる可能性がしらかわホールにはある」と話した。
三井住友海上火災保険によると、文化貢献事業としてホールの貸し出しを中心に運営していたが赤字が続いていた。
2018~19年度の天井改修工事前の17年度に194公演あったが、昨年度はコロナ禍もあり、83公演と大幅に減っていた。ホールが入る12階建てのビルごと売却予定だが、売却先は未定という。(小原智恵)
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