巨匠ゲルハルト・リヒター エッセンスたどる厳選の「抽象」展

田中ゑれ奈
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 今年、東京と愛知で大規模個展を予定するドイツ出身の現代屈指の美術家、ゲルハルト・リヒター。大阪・御堂筋で開かれている「Abstrakt」展では、一足先にその多彩な仕事のエッセンスを見ることができる。

 会場の「エスパス ルイ・ヴィトン大阪」は昨年2月、ルイ・ヴィトン財団が所有する美術作品の国内2カ所目の展示スペースとしてオープンした。約60年のキャリアの中で抽象と具象を交互に手がけてきたリヒターの作品のうち、今展では18点の抽象作品を紹介する。

 リヒターはしばしば写真やガラスを使って、絵画と芸術の目的を問う。小型の「Grauwald(グレイの森)」は白黒プリントの森の写真を灰色の絵の具で塗り潰したシリーズ。「Flow」では絵の具の上からガラス板を押し付けることで、偶然生まれたにじみを修正の余地なく固定する。

 アクション・ペインティングによる「Lilak」のように、パレットナイフやブラシなど様々な道具を駆使した大型絵画も。中央に現れた黄色の線にちなむ「M●(oに¨(ウムラウト)付き)hre(ニンジン)」のタイトルは、具象と抽象の区別を無効にする遊び心を感じさせる。

 「Strip」は過去に制作した抽象絵画をスキャンしてデジタル加工を繰り返し、カラフルな帯に分割したシリーズだ。タイトルには「帯」と、元の作品を「はぎ取る」という二つの意味が重なる。大きな画面は見る者の視界を覆って遠近感覚を奪い、錯視のような効果をもたらす。

 4月17日まで。問い合わせはルイ・ヴィトンクライアントサービス(0120・00・1854)。(田中ゑれ奈)