「悪い物価上昇」が深刻化? 賃上げ見通せず「実質マイナス」指摘も
徳島慎也
日本銀行が18日、2022年度の物価上昇率の見通しを引き上げた。ただ、原油高などのコストアップが主な原因で、賃金が上がって消費が盛り上がり、物価が上がるという好循環はみられない。岸田政権が掲げる賃上げの先行きも不透明で、「悪い物価上昇」が深刻化する懸念が高まっている。
東京都足立区の住宅街に立つベニースーパー佐野店。食品や日用品を扱うこの店は今、仕入れ価格の高騰に苦しめられている。
食品メーカーや問屋から、仕入れ価格の値上げ要請が相次ぎ始めたのはこの半年のこと。店頭価格は極力上げない一方、サラダ油や小麦を原料とする麺類などを中心に、特売に出す回数をコロナ禍前の半分近くに減らしてしのいできた。
店の責任者を約20年務めてきたスーパー本部長の赤津友弥さんは「これだけ幅広い商品の値上げ要請が来ることは、これまでなかった。コロナを機にみんな我慢できなくなったのでは」と嘆く。仕入れ価格が下がる気配はない。「値上げ要請はのまざるを得ないが、お客さんから敬遠されないか心配」
黒田総裁「好循環目指す」
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