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感染急増で保健所が逼迫「人員も場所も」 負担減へ自治体が模索

新型コロナウイルスオミクロン株

比嘉展玖、岡田将平、蜷川大介、能登智彦
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 新型コロナウイルスの感染拡大で、自宅で療養する感染者が急増する中、感染者のケアを担う保健所が逼迫(ひっぱく)している。広島県や自治体は保健所の負担を減らそうと、対応を模索している。

 金融機関に勤める広島市の男性(25)は家族3人と同居しているが、終日、自室で一人で過ごしている。自宅療養のためだ。のどの痛みがあったため病院で受診したところ、13日に陽性とわかった。年明けからは会社の指示で会食はしておらず、「なんでかかったんだろう」と疑問に思う。

 市保健所の担当者からは「8日から10日までの3連休に会った人はいますか」と問われた。男性が「いない」と答えると、「濃厚接触者だと思われる人にPCR検査を受けるように伝えてください」と促され、その他の行動履歴は問われなかった。

 翌14日、市保健所から「今後の対応については後日連絡します」との電話があったが、その後は体調を尋ねる健康観察以外の連絡はなく、「放置されている」と困惑。男性が18日、しびれを切らして保健所の担当者に電話で聞いて初めて、自宅療養が必要な期間のほか、同居家族もPCR検査や自宅待機が必要だと知らされたという。

 自宅ではマスクを着け、トイレに行くたびに手すりや便器の消毒は欠かせない。食事は家族に自室前に置いてもらい自室に持ち込んで食べるという。「家族も自分も神経質になり、気疲れしている。先が見えず、いつまで続くのかとストレスがたまる」

 男性は「保健所も手いっぱいになっていると思うが、会社の同僚や同居する家族の仕事にも関わることなので、早く対応がほしかった」と話す。

 感染拡大に伴い、自宅療養者は激増している。県は今月、重症化リスクが低い軽症や無症状の人について、ホテル療養から自宅療養を基本とする方針に転換。1日時点では10人だったが、17日時点で7183人になった。

 こうした中、保健所では人手不足が深刻となっている。広島市の担当者は「すべてにおいて人手が足りない。ひたすらかき集めている状況」。本庁だけで他の部署から最大200人近くが応援に入って対応している。それでも、時間外業務が格段に増えた。担当者は「感染者の数が多く、(感染拡大の)速度も速い。丁寧な対応ができにくくなっているのは事実だ」ともらす。

 福山市は、昨年12月時点では新型コロナ対応の保健師は12人だったが、市役所内から集めて約50人に増員。ほかにも約20人がデータ入力や患者搬送の応援に入っており、日付が変わる時間帯まで仕事が続く人もいるという。

 呉市は他部署の職員の応援に加え、退職した元保健師3人を迎えて約40人で感染者の対応にあたっている。一般向けの検査業務や健康教室といった通常の業務の一部を一時停止し、コロナ対応に集中している。担当者は「それでも業務に関わる人員も場所も逼迫している」と話す。

 保健所の負担を軽減しようと、広島市、福山市、呉市では、発症から2週間前までさかのぼって感染者の行動を確認していた「積極的疫学調査」を、発症2日前に短縮した。感染源を特定するより、感染した可能性のある濃厚接触者を見つけ出すことに重点を置く。

 県も保健所の負担を減らそうと、昨年12月20日、健康観察の業務を民間業者に委託し始めた。市が担っている広島市以外の22市町が対象だ。県内の全自治体で自宅療養者がスマホやパソコンから健康状態を入力できるシステムを活用する。(比嘉展玖、岡田将平、蜷川大介、能登智彦)

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 広島県は18日、新型コロナウイルスの3回目のワクチン接種に向け、大規模接種会場を広島市に28日、福山市に2月4日に設置すると発表した。感染の急拡大を受けて、3月の設置予定を前倒しした。

 会場は広島市中区胡町の天満屋八丁堀ビル6階と、福山市御幸町の県立ふくやま産業交流館(ビッグ・ローズ)。いずれも4月16日まで設置し、2会場で計約4万8千回を想定する。

 対象は県内在住で2回目接種の完了から、7カ月以上経過した高齢者▽6カ月以上経過した医療従事者と高齢者施設従事者ら▽8カ月以上経過した18歳以上の人。米モデルナ製ワクチンを使用し、1、2回目の接種でモデルナ製以外のワクチンを接種した人も、接種が可能だ。1、2回目の接種を希望する人の枠も用意する。

 湯崎英彦知事は会見で、「3回目の接種により重症化予防の効果をしっかりと発揮する」と呼びかけた。予約は今月21日午前8時から、ウェブサイト(https://jump.mrso.jp/hiroshima/別ウインドウで開きます)とコールセンター(082・207・0900)で受け付ける。

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