消えていた前大統領が騒乱後初の登場、引退を表明 カザフスタン

モスクワ=石橋亮介
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 中央アジアカザフスタンのナザルバエフ前大統領が18日、ビデオ声明を発表し、「私は年金生活者だ。トカエフ大統領が全権を掌握している」と述べ、政界からの完全引退を表明した。年明けに全国で政府に抗議するデモや騒乱が始まって以来、ナザルバエフ氏の発言や姿が伝えられたのは初めて。

 ナザルバエフ氏は演説で、一連の騒乱について「国家の一体性と基盤の破壊が目的。誰が組織したのかを明らかにすることが大事だ」と主張。トカエフ大統領と自身の側近らの対立が背景にあるとする報道などについては、「いかなるエリート間の対立もない」と否定し、トカエフ氏を支えるよう訴えた。

 ナザルバエフ氏は1991年、ソ連崩壊で独立したカザフスタンの初代大統領に就任。2019年に辞任し、後継にトカエフ氏を指名した後も、国家安全保障議会の議長などにとどまり、「院政」を敷いてきたとされる。

 トカエフ氏は騒乱のさなかの5日、ナザルバエフ氏に代わって同議長に就任。国家安全保安委員長を務めていたナザルバエフ氏の側近を拘束するなどし、権力を掌握した。情勢が落ち着いてからも、政府や国営企業の要職から同氏の親族らを次々と解任し、ナザルバエフ政権時代から続く政治や経済の改革を急ぐ考えを示している。(モスクワ=石橋亮介)

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    駒木明義
    (朝日新聞論説委員=ロシア、国際関係)
    2022年1月19日10時5分 投稿

    【解説】「私は年金生活者だ」 この言葉で、カザフスタンの国民は瞬時にナザルバエフ氏の失脚を理解したことでしょう。ソ連では有力政治家が年金生活に入るということは、多くの場合失脚と同義語で、例えばフルシチョフ氏が1964年に第一書記の座から引きずり下ろ