北の大地で生きるキタキツネ 人の「善意」が招く悲しい結末

矢田文
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 雪に覆われた真っ白な北海道・釧路湿原。日も暮れ始め、あたりが薄暗くなってきたとき、1匹のキタキツネが森林の茂みから顔を出した。

 「こっちを警戒するようにしていた。驚かさないよう距離を保って撮りました」と撮影者の鶴木雄太さん(32)は話す。

 趣味でアマゾンやケニアにも写真を撮りに行くという鶴木さん。それでも「北海道の自然はすごい」と言う。「海外のそういう地域と遜色ないくらい、たくさんの生き物に出会う」

 キタキツネは北海道や樺太に生息する。本州などにいるホンドギツネと同じアカギツネの亜種だが、ホンドギツネに比べると少し大きい。

 近年は人による餌付けが大きな問題だ。一度、人の食べ物の味を覚えた個体は何度も人の前に姿を見せるようになる。

 キツネに詳しい日本自然保護協会の須藤哲平さん(29)は「食べ物を求めて道路に出てひかれたり、栄養バランスが崩れることで免疫力が低下するなどして皮膚病になったりする」。

 エキノコックスという寄生虫を保有しており、触ることで人間にも感染することもある。「近すぎる距離感は人間にとってもキツネにとってもよくないこと」

 かわいい見た目から、つい餌をあげたくなるかもしれないが、人間と野生動物の互いが、生きていくためには、干渉しないことも大切なのだ。(矢田文)