つまずいた時救われた曹操の言葉 サントリーのマネジャーの愛読書
様々な組織でリーダー役を務める人に仕事や人生に影響した本を聞く「本がくれたもの」。初回は、サントリービールでマーケティングを担当している稲垣亜梨沙さん(34)に聞きました。
歴史が好きで、読む本も歴史小説が多いです。きっかけは「天上の虹」(里中満智子著、講談社)。持統天皇の生涯を描いた歴史漫画で、小学生の頃から何度も読み返しました。
持統天皇即位、藤原京遷都……。年表では「点」で紹介される史実をつなげて想像すると、壮大なストーリーが描けることに魅せられたのです。辣腕(らつわん)を振るう持統天皇の女性リーダー像にも憧れました。
これは今の私の仕事につながっているかもしれません。ユーザーの思い、流行、売りたいもの。「点」を深掘りし、想像力を働かせてつながりを見つけドラマを生むのがマーケティングで重要だからです。
《いながき・ありさ 1987年、岐阜県出身。東京大学卒業後、2010年、サントリーホールディングス入社。ビール部門でマーケティングを担当。2児の母。プロジェクトマネジャーを務める昨年4月発売の「パーフェクトサントリービール」は、リニューアルして今月25日から発売》
悩み多き新人時代…あの主人公に力もらった
大学ではマーケティングゼミに所属していました。卒業後、サントリーに入社。希望していた商品開発の仕事に携わり、必死に先輩の背中を追いかけました。充実していましたが、悩みも多かったです。
そんな時、「蒼穹(そうきゅう)の昴(すばる)」(浅田次郎著、講談社)は現実から私を壮大な清朝末期の世界に引き込んでくれた。普段は特段仕事に生かそうと思って本を読んではいませんが、極貧の主人公がひたむきな努力で上り詰めていくストーリーに、「私ももっと頑張れる」と力をもらいました。
入社5年目で初めて新商品のブランドマネジャーを任されました。プロジェクトのマーケティング担当リーダーです。期待の商品でやりがいは大きく、テレビCMも展開しましたが、発売から1年もたたず終売となりました。
ショックでした。その頃読み返したのが、三国志の曹操が主役の漫画「蒼天航路(そうてんこうろ)」(李学仁・王欣太著、講談社)です。
記事後半では稲垣さんが気づいた「蒼天航路」の魅力、子育てで「再会」した本について語ります。
「敗北にこそ才が必要だ。敗…
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