12畳の大だこ、17年経て再び大空へ 美術家らが地元材料使い修復

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福田祥史
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 17年前、当時の茨城県藤代町(今の取手市北東部)で、住民たちが12畳大のたこ揚げに挑んだ。数秒間の浮揚に終わったが、それを知った美術家らが地元にある材料を使って、残されていた大だこをよみがえらせた。23日に同じ場所で再び大空を目指す。

 きっかけは2011年、同市高須地区の公民館で、美術家の岩間賢さん(47)が目にした1枚の写真だったという。手作りのたこを持って並ぶ子どもと大人たちの後ろに、建物2階分の高さがあろうかという大きなたこが写る。05年1月に地元の人たちが作ったたこだと聞いた。

 岩間さんは、市内にある東京芸術大の非常勤講師で、芸大と市民、市でつくる取手アートプロジェクト(TAP)の「半農半芸ディレクター」。農業文化や自然から着想を得て創作につなげる取り組みで、その活動拠点を探していた。「高須にある素材を使って、いつかこんなたこを揚げたい」と思った。

 高須の大だことはどんなものだったのか。制作メンバーだった倉島喜一さん(83)と羽田勝さん(80)によると、当時の経緯はこうだ。

 2000年代初め、公民館に集まるシニア世代数人の間で、各地のたこ揚げ大会が話題になり、自分たちもやってみることにした。次第に仲間が増え、04年1月には6~8畳ほどの大きさのたこ揚げに成功。「もっと大きいのを」と翌年、12畳大のたこに挑戦した。

 集落内の竹を切り出して骨組みを作り、布を貼った。1カ月ほどかけて縦5・2メートル、横3・7メートルのたこが完成。近くに電柱のない長い直線の農道で揚げようと試みた。日を変えて3回。いずれも、すぐに落ちた。

 最後に4~5秒、10メートルほどの高さまで浮いたのが精いっぱいだった。挑戦はそこまで。たこは公民館隣の倉庫や体育館の舞台裏にしまわれたままになった――。

 高須地区を活動拠点の一つにした岩間さんらTAPは、少しずつ構想を重ね、18年ごろから準備を本格化。昨年秋、眠っていたたこを借り出して骨組みを補修。布に替えて、地区の農家にもらった稲わらから作った和紙を貼って復活させた。紙は地元の柿やイチジク、桜などの木の枝や葉から作った顔料を塗って色づけした。芸術家4人に住民らも加わり、30人ほどが制作に関わった。

 23日は、午前中に高須公民…

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