通路に残されたトラ、重なった安全確認不足 那須サファリ事故調査

津布楽洋一、小野智美
[PR]

 【栃木】那須サファリパーク(那須町)で、飼育員3人がベンガルトラに襲われて負傷した事故から2週間。現地調査した日本動物園水族館協会は、トラの所在確認など安全確認作業の不徹底が事故の一因と指摘した。県警も業務上過失傷害の疑いで捜査を進めている。

 協会の調査報告書などによると、事故前日の4日夕、飼育員2人が展示スペースにいたトラをトラ舎内に収容する作業を担当。その際、1人が作業途中で獣舎(鉄柵の個室)への収容とエサやりをもう1人に任せてトラ舎を離れた。

 残った飼育員は獣舎内にエサは入れたが、トラを獣舎に収容しないまま、作業を終えてトラ舎を離れたとみられる。そのためトラは展示スペースと獣舎の間にあるトラ舎内のトラ用通路に残されてしまった可能性が高い。獣舎のエサは手つかずで扉も閉じた状態だった。

 翌朝、別の飼育員が獣舎にトラが収容されているのを目視で確認しないままトラ用通路に向かい、トラと遭遇し、負傷事故が起こったとされる。トラ舎内は鉄柵で区切られていた。

 調査担当者は、前日にトラの所在確認をすべき人がしっかり確認していなかったことと、当日最初にトラ舎に入った人がトラを確認していなかったことを指摘し、安全作業の不徹底が事故の要因とした。

 担当者は取材に「ミスは誰にでも起こりうる。だからこそ、動物を確認するという基本中の基本を改めて徹底してもらいたい。ミスを犯したときにフォローできるような体制も必要」と話した。

     ◇

 園が定めるマニュアルでは獣舎への動物の出し入れは飼育員2人で担う決まりだった。協会の報告書を受け取った那須どうぶつ王国の佐藤哲也園長は「特定動物の施設に本来は1人で入ってはならない。2人以上が同じ場所で同時に作業するのがあるべき姿。動物に背を向け襲われる恐れもある。安全のためにも作業前と後の動物の頭数確認が非常に重要」と指摘。救助にトラがいる場所に入ったことも問題視した。「心情は大いに理解しますが、外から放水するなど方法がある。うちにはそのための設備があります」(津布楽洋一、小野智美)