琴ケ浜の特産目指して塩作り 大田市の住民ら

杉山匡史
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 国の天然記念物で、日本三大鳴き砂の「琴ケ浜」がある島根県大田市仁摩町の馬路(まじ)地区観光振興協議会が、新たな特産品を目指して塩作りに挑んでいる。海水や藻塩用の海藻、煮詰めるための燃料の木材まで、すべて地元産。仁摩町で29日開業予定の道の駅「ごいせ仁摩」での販売に向け、準備を進めている。

 協議会は、琴ケ浜と近くの仁摩サンドミュージアムを結ぶ「白いドア」を設置して話題を呼ぶなど、ユニークな仕掛けで地元の活動を発信している。

 ただ、琴ケ浜に来ても手頃な土産物がないことから、工務店を営む松浦隆之会長(74)が塩作りを発案した。地区には塩の名がつく塩郷川が流れ、かつては自宅用などで塩を作る文化もあった。

 3年ほど前から地域おこし協力隊員の武部豪(つよし)さん(62)らと作り方をインターネットや専門書で調べたり、県内で塩作りをしている地区を視察したり。試行錯誤を重ねた結果、昨年2月に製造業の届けが財務省に受理された。

 作業場は、工務店の平屋倉庫を改造。平釜(長さ約2・5メートル、幅約1・3メートル、高さ約0・8メートル)はステンレス製の四角いおけを二つ並べてコンクリートで固めた手作りで、市の補助を受けて新調した。

 少ない燃料で効率よく煮詰めるため、煙を釜の両側に埋めた管を経由して屋外へ出し、おけを冷やさない工夫も凝らす。薪は工務店の廃材や、浜に打ち寄せた流木の再利用だ。

 海水は浜の岩場から水中ポンプでタンク(500リットル)にくみ、トラックで運び入れる。おけいっぱいに入れ、煮詰めていくと徐々に白い結晶に。焦げないようかき混ぜ、木枠に金網を張った上に載せ、にがりを落とす。あとは乾燥させればできあがりだ。藻塩にする場合は、乾燥アラメを煮出して取り出した液につけてまぜ、乾燥させる。

 1回の作業で約15キロの塩が作れるが、完成までに3日かかるという。武部さんは「雑味やえぐみの少ない、色々な料理に合う塩を目指している」と話す。協議会は将来、琴ケ浜近くで作ることを目指している。

 今月12日には、近くの県立邇摩高校で食品加工を学ぶ3年生4人が、塩作りの一部を体験した。地元産の大豆を使ったみそや、イチゴのジャムなどの商品開発も手がけており、今後、琴ケ浜産の塩を生かした新商品も作りたいという。片岡瞭(りょう)さん(18)は「地元で塩ができることを知って勉強になった。色々な食材に使えたら市の宣伝にもなる」と話した。

 開業する道の駅では、白い塩と藻塩の2種類を販売する予定。宛先を書いて切手を貼ったはがきを入れれば、郵送もできる土産物用が各70グラム、ふだん使い用が同100グラム。いずれも税込み500円。(杉山匡史)