ダンスの先生から直木賞作家の今村翔吾さん「30歳からでも夢叶う」
第166回直木賞の受賞が決まった今村翔吾さん(37)の一問一答は以下の通り。
――いまのお気持ちを
やっとここまできたか、という気持ちが、本当にまず一つで。受賞の報を受けたとき、まさか自分が泣くとは思っていなかったのですけど、号泣してしまいました。
――号泣したのは直木賞が夢だと言っていたから?
僕にとって直木賞は、野球少年がイチロー選手みたいに首位打者を取りたいとか、ゴールデングラブ賞を取りたいとか、純粋なというか、ただそれだけというか。僕は池波正太郎先生の本から読み始めたので、池波先生はじめ、色んな作家の先生方が取っておられる本当にあこがれの賞だったんです。
僕は30歳になるまで一切、小説を書いたことのない人間で、30歳で「いつか小説家になりたい」と筆をとって。もともと僕はダンスの先生で、子どもたちに「30歳になってからでも夢はかなう」ということを、残りの人生で証明する、と言ってこの世界を目指しました。直木賞を取るとも公言していたので、うそをまことに変えられた、子どもたちの思いを裏切らずに済んだ、という安堵(あんど)の気持ちですかね。そういうのが色々入り交じって、泣けてきちゃいましたね。
――作家として次の夢は。選考委員の浅田次郎さんが「直木賞を取ったら落ち着いて書いていけるのでは」といっていましたが
落ち着いて書きたいですね…
【視点】今村翔吾さんが歴史時代小説のおもしろさに目覚めたのは、小学5年生のとき。書店で池波正太郎の長編『真田太平記』を買ってもらい、夏休みに読破したのがきっかけだそうです。 記事の中で「僕はいま書店も経営していて」と話しているのは、昨年11月にリ