リフォームも魚のさばき方も…夫婦で民宿経営かなえたYouTube

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照井琢見
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 愛媛県上島町の弓削島にある「弓削の宿」は、鹿児島県出身の夫婦が2019年に開いた民宿だ。長年の夢をかなえようと、築100年以上の古民家を二人でリフォームした。素人同然の夫婦にとって強い味方になったのは、YouTubeの動画だった。

 民宿を営む川畑良文さん(55)、ちや子さん(54)は、ともに鹿児島県出身。高校卒業後に結婚し、3人の子どもを育てた。良文さんは元サラリーマンだ。

 民宿経営にあこがれ始めたのは、25年以上前のこと。ちや子さんは「二人で一緒にやっていける仕事がしたかった」と振り返る。二人とも、家に客を招いてあれこれもてなすのは好き。晩酌をしながら語り合い、将来の夢を定めた。

 夢が具体的に動き始めたのは約6年前、神戸に住んでいた時だった。3人の子どもは独立していた。週末は大型バイクで瀬戸内の島々をめぐり、民宿の候補地を探し始めた。その中で弓削島も訪問。港からみた透き通る海の水が気に入り、1年ほど通って古民家を紹介してもらった。

 18年2月、良文さんが退職し、島に移り住んだ。二人は電気工事士や船の免許、調理師など様々な資格を取得し、本を買い込んで建築の勉強もした。準備は万端整った、はずだった。

 しかし、いざ作業に取りかかろうとすると、「木材の寸法の取り方やコンクリートの混ぜ方、細かい作業の手順がわからなかった」(良文さん)。だからといって業者に任せれば、さらに費用がかかってしまう。

 そこで、参考にしたのがYouTubeの動画だった。あらゆる作業の手本が、検索すれば出てくる。しっくいを塗るときのコテの動かし方、木材にノコギリの歯を入れる向き――。動画なら、作業の進め方が一目瞭然。わからないことに出くわすたびに、動画を探してまねた。

 家は大正時代に建てられたもの。民宿にするため、腐った畳をはぎ、土間をかさ上げするなど、1年半かけて大がかりな改装をした。

 「ミスを防ぎ、材料を無駄にせずに済んだ」と良文さん。「YouTubeがなかったら、コストは1・5倍だったかも」と動画に感謝する。

 19年10月に開業した「弓削の宿」。自慢は、島の漁師がとった新鮮な魚を使った食事で、良文さんがさばいた刺し身をはじめ、煮付けや天ぷら、塩焼きなどの料理が振る舞われる。魚のさばき方の教科書も、やはりYouTubeの動画だ。

 手作りの宿は口コミで人気を集め、いまは首都圏からの宿泊客が多いという。ちや子さんは「もっとのんびりする予定だったけど、そうもいかなかった」と苦笑いする。

 二人の宿は未完成だ。「僕た…

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