「7倍になった」友人の言葉でつぎ込んだ300万 暗号資産詐欺事件

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河野光汰 華野優気
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 独自に開発したとする暗号資産との交換という名目で有名暗号資産をだまし取ったなどとして、詐欺などの罪に問われたインターネット関連会社代表取締役の山田大紀被告(26)=東京都新宿区=の初公判が19日、大阪地裁(坂口裕俊裁判官)であり、山田被告は起訴内容について「認否を保留する」と話した。

 山田被告の会社は「Rawbiz(ロウビズ)」(東京)。起訴状によると、山田被告は男女数人と共謀。2019年7月~20年9月下旬ごろ、東京などに住む男性らに「将来値上がりする」と虚偽を言って独自に開発したとする暗号資産を渡し、交換として有名暗号資産計約42ビットコイン、計約140万リップルをだまし取ったなどとされる。

 事件当時、1ビットコインは約68万~121万円、1リップルは約18~33円。だまし取ったとされるのは5千万~1億円にあたる。

 大阪府警によると、山田被告らは19年ごろから「独自の暗号資産」として「アークキャッシュ」や「バイオメックス」などを作成。「20年ごろに(取引所に)上場」とうたっていたが、府警によると、上場に動いた形跡はなかった。暗号資産の取引業に必要な国への登録をしていなかったという。

グループ十数組、勧誘マニュアルも

 捜査関係者によると、山田被告らの指示で勧誘していたグループのメンバーは、「指導役」「販売役」など3人程度のグループを十数組作り、アークキャッシュなどを販売させていたと供述。会社側が作成した勧誘マニュアルがあり、架空の上場計画や虚偽の事業計画を伝えて誘う手順が記載されていたという。メンバーは入手した有名暗号資産を山田被告らに渡し、最大で3割程度を報酬として現金で受けていたという。

 府警は押収資料などから、約1年半で延べ約1500人から有名暗号資産約20億円相当をだまし取った可能性があるとみている。

 山田被告は資金決済法違反(無登録の交換業)罪で1回、詐欺罪で2回起訴されている。大阪府警は19日、同様の手口で有名暗号資産をだまし取ったとして詐欺容疑で職業不詳の男(24)を新たに逮捕した。

マッチングアプリで知った「若い女性」から

 東京郊外に住む30代の男性会社員は19年、山田被告らによる暗号資産を知った。女性と知り合う際に使うマッチングアプリがきっかけ。メッセージを送ってきた「若い女性」は、「暗号資産で数億の資産ができた」と話した。

 男性は大手企業の営業職。マンションに家族3人で住む。年収は約900万円。こつこつとためた貯金は1千万円ほどだ。

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