千葉県市川市と都庁前広場から、「10万円」騒動の宿題を考えた

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五郎丸健一
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アナザーノート 五郎丸健一記者

 コロナ禍が長引いて日本経済の回復が遅れるなか、子育て世帯や生活に困る世帯への支援策として岸田政権が打ち出した10万円の給付金。多くの議論を呼んだが、昨年末には子育て世帯への支給が各地の自治体で始まり、もう受け取った人もいるだろう。この政策のあり方を取材する過程で、千葉県市川市が独自に全国でも珍しい現金給付を準備中、と耳にした。興味がわいて早速、取材した。

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国の「穴」をふさぐ自治体

 制度の名は「いちかわ生活よりそい臨時特別給付金」。特徴的なのは、「国の給付金を受けられない方々への支援策」とうたう点だ。

 国の困窮世帯向け給付金は、住民税が非課税の世帯が主な対象だが、「よりそい給付金」は、住民税が課税されていても年間の合計所得が200万円以下の世帯であれば、10万円を配る。市川市では非課税世帯の大半が所得200万円以下だが、同じような所得層でも家族構成の違いなどが原因で住民税が課税され、国の給付金をもらえない世帯が約4万あるという。つまり、市独自の給付金は国の政策の「穴」をふさぐものなのだ。

 どうして一自治体がそこまでするのか。担当者に尋ねると、こんな答えが返ってきた。

 「ワーキングプアの若者など、ぎりぎりの生活をしている人が市川市にもいますが、国の制度では給付対象から漏れるケースが出ます。同じように困窮しているのに差がついてしまうのを何とかできないかと考え、支援対象を広げることにしました」

 この事業に必要な約40億円は、市の持ち出しとなる。市議会では反対意見も出たが、関連予算は先月に成立した。支給の時期は国の給付金と同様、2月下旬ごろになる見通しという。

迷走は不作為のツケ

 岸田政権が昨年秋から検討を進めた給付策は、必要性ややり方をめぐって多くの疑問や批判を招き、政権の対応も迷走した。何が原因なのか。現金給付の仕組みに詳しい佐藤主光(もとひろ)・一橋大教授(財政学)の見方は手厳しい。

 「政治家の不作為であり、平…

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