家庭に無関心な父、自傷繰り返す母 孤独だった作家が見つけた希望

有料会員記事KANSAI阪神・淡路大震災

聞き手・田部愛 写真・新井義顕
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 いま、多くの女性たちを勇気づけている作家がいる。ギャグを盛り込んだ軽妙なエッセーで、ジェンダーや家族の問題を取り上げるアルテイシアさん(46)だ。原点には阪神・淡路大震災の経験があるという。

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 ――被災したときは、大学1年生でした。

 「神戸市灘区の友達の下宿先で寝ていた時に地震が起き、その後電気が通じている別の友達の家に移動しました。友達が10人ほど集まっていたのですが、みんなの家族が次々迎えに来た。でも、自分のもとには誰も来ません。孤独でした。地震から3日ほど経った日、がれきだらけの神戸の街でばったり出くわした父に『なんやおまえ、生きとったんか』と言われました」

 「父は家庭に無関心な仕事人間。母は40歳手前で父に離婚され、アルコールにおぼれ自傷行為を繰り返すようになりました。大学進学を機に母と住んでいた家を出て自活を始めたときは、何にも代えがたい自由を手に入れた気持ちでした」

 「でも、父の言葉がきっかけで、積み重なったつらさがはじけた。お酒やセックスに浸るようになりました。『自分を大切にして』と心配してくれる友達もいました。でも、親から死んでもかまわないと思われている人間が、どうすれば自分を大切にできるのか聞きたかった。あなたたちには大きな地震が来たら真っ先にさがしてくれる家族がいる。私にはいない。そう思ってすねていました」

 ――被災時はまだ18歳です。ずっとひとりで過ごしていたのですか。

家族との関係にその後も苦しんだアルテイシアさんは、あるきっかけで呪縛から解放されました。記事後半では、今の活動につながる体験や今後の夢を聞きました。

 「自分でなんとかしなきゃと…

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    尾崎千裕
    (朝日新聞記者=宝塚歌劇、関西芸能)
    2022年1月24日17時44分 投稿

    【視点】震災後、誰も迎えに来なかった―。阪神・淡路大震災に被災した18歳の時を、アルテイシアさんが振り返る言葉は、重みと示唆にとんでいます。頼れる家族がいない人にとっての情報発信はどうあるべきなのか。今も考え続けなくてはならないテーマだと思います。

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