「ステルス値上げ」からインフレを考えた 金融政策頼みはもう限界

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 「ステルス値上げ」という言葉をご存じだろうか。探知されにくいステルス戦闘機のように消費者に気づかれない値上げのことをいうそうだ。たしかにパッケージは変えずに容量や個数を減らすことで実質的に値上げされた商品は少なくない。だが、最近は値上げもステルスでなくなってきた。電気料金やガス料金は燃料価格の高騰を受け、6カ月連続で値上がりするし、小麦粉や冷凍食品などにも物価高が及んでいる。

 これは、インフレの兆しなのだろうか。一定期間、物価が上がり続ける経済現象であるインフレを、日本社会は幾度も経験してきた。終戦直後の1945年から49年までに起きたインフレでは物価は数十倍になり、預金封鎖や新円切り替えが実施されるほど深刻だった。74年には、第1次石油ショックの影響で「狂乱物価」といわれる年率20%以上のインフレを経験した。だが、ここ30年近く物価は上がっていないため、インフレの記憶は風化しつつある。

 それでも油断はできない。昨年11月の米国の物価上昇率は6・8%で39年ぶりの高水準となった。EU圏でも先月の物価上昇率は5・0%で、統計を取り始めた97年以降の最高値である。この傾向が続けば、政府や中央銀行は対策を迫られるだろう。今月開催されたアメリカ経済学会でも、インフレについての研究が複数発表された。景気だけでなく、貧困層の生活を直撃するインフレは依然として深刻な経済問題である。

 実は、物価が上がり続けても…

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