マクロン氏、EUでの最賃引き上げや移民規制を主張 その思惑とは

パリ=疋田多揚
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 フランスのマクロン大統領は19日、欧州連合(EU)議長国として仏東部ストラスブールの欧州議会で演説し、EUレベルでの最低賃金引き上げや不法移民対策の強化をめざすと訴えた。再選がかかる4月の大統領選を前に、自国に関わりの深いテーマで議論を主導し、外交成果を国民にアピールしたい考えだ。

 議長国は加盟国が回り持ちで務め、フランスは1月から6月末までが任期だ。マクロン氏は「全ての人にとってのまっとうな最低賃金」で域内の賃上げや格差解消をめざすと主張。「不法移民を防ぐため、EUの国境を守る」とも述べた。

 所得水準が低い中東欧加盟国の賃上げを促すことで、フランスなど人件費が高い国の企業の競争条件を改善できる利点がある。

 移民・難民政策では、最初に到着した加盟国が難民申請などの手続きに責任を持つ原則を徹底させる方針だ。ドイツやフランスなどに流れてくるのを防ぐ狙いだが、ギリシャスペインなど「前線」の国の負担が増す恐れがある。

 マクロン氏はコロナ禍からの回復に投資が必要だとして、EU予算を電気自動車などの成長産業により柔軟に使えるよう、EUの財政規律を緩めたい考えもにじませている。

 3月に臨時のEU首脳会議を仏国内で開き、外交も含めたEUの基本戦略を定める。欧州の安全保障の枠組みも見直して北大西洋条約機構(NATO)と共有し、地域の安定化に向けてロシアとも交渉するという。

 仏大統領選ではEU政策も争点になっており、マクロン氏は右翼「国民連合」のルペン氏から、「国益を前面に出そうとしていない」などと批判されている。EU内での指導力とともに、フランスの国益にかなうEUであることを国民に印象づけたい考えだ。(パリ=疋田多揚)