地域を売り込むマルシェ100回 地域おこし協力隊の岩崎さん

柳沼広幸
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 赤城山南東の山間地、群馬県桐生市黒保根地区の農産物などを市中心部で販売する手作りの「くろほねマルシェ」が100回を数えた。新型コロナウイルスの感染拡大で出荷先に困った農家を支援する「ドライブスルー八百屋」として始まった。新鮮な野菜などを通して「地域の魅力」を伝える拠点として続く。

 同市本町6丁目の古民家カフェ駐車場で15日、100回目のマルシェが開かれた。白菜、ネギ、マイタケが次々と売れた。節目を祝い、餅が振る舞われ、抽選で米などが贈られた。

 市街から車で30~40分かかる黒保根で活動する地域おこし協力隊員岩崎大輔さん(32)が中心になり、2020年4月に始めた。

 コロナの緊急事態宣言で、農家は野菜などを「道の駅」などで売れずに困っていた。農業も実践する岩崎さんは「農家を支援したい。街では買い物に困っている人もいる」とドライブスルー販売を考え、水曜日と土曜日に展開した。緊急事態宣言が解除された後の20年夏から毎週土曜日に対面のマルシェになった。

 農産物は岩崎さんが農家を回って集める。神山養鶏場では「朝どりたまご」20パック(1パック10個入り)を受け取った。神山裕和さん(58)は「こういう若手がいると助かる。ありがたい。宣伝になるし、地域が活性化する」。マルシェで新鮮な卵を買った人が、黒保根の直売所まで来てくれるようになり、新たな顧客の開拓になった。「今後も続けてほしい」と期待する。

 岩崎さんは熊本県宇城市出身。大学卒業後、東京都内で就職。25歳の時に会社を辞めて原付きバイクで日本一周の旅をし、各地の地域おこし協力隊を訪ねた。将来の起業に向けて再び就職し、30歳の19年10月に地域おこし協力隊員として黒保根に移住した。

 空き家をリノベーションした民泊を手掛ける。「お試し移住」で移住希望者の相談にのる。農業体験も取り入れるため、地元の農家に弟子入り。土づくりにこだわった米作りでコシヒカリのブランド米「くろほの雫(しずく)」は高評価を得た。桐生の企業と大学生らのインターンシップのコーディネートなども手掛ける。

 マルシェを続けるのは大変だが、気づいたことがある。「黒保根の農産物のおいしさが定着し、地域のPRになっている」。マルシェで地域を売り込み、関心を持った人たちが農業体験などで黒保根を訪れる取り組みにつなげたい。

 今年秋には協力隊員としての任期3年を終える。引き続き活動するため、一般社団法人を設立した。「今の仕事を収益化できるようにしたい」。洋食店の注文に応じた西洋野菜の受注栽培などにも取り組む。

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 新型コロナの急拡大を受けて、県内にも21日からまん延防止等重点措置が適用される。22日の101回目のマルシェは、消毒などを徹底し、感染防止に努めながら実施する予定だ。(柳沼広幸)