核兵器を持つことも使うことも禁じる国際条約への参加を日本政府に求めてほしい――。大学生が地元議会に一人でそんな請願を出した。採択には至らなかったが、手応えもあった。核兵器禁止条約の発効から22日で1年。今春、社会人になっても条約参加を訴えていくつもりだ。
きっかけは大学の講義だった。
早稲田大4年の青木秀介(ひでゆき)さん(22)は、それまで核兵器問題を深く考えたことがなかった。ゲスト講師に来たのは国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)の国際運営委員、川崎哲(あきら)さん。ICANは2017年にノーベル平和賞を受賞していた。
講義を聴き、川崎さんたちの活動の趣旨に共感した。「核廃絶は被爆者や被爆地だけでなくみんなの問題だ」。学生の自分にもできることを考えた。広島や長崎にゆかりはないし、被爆者の親戚がいるわけではない。
考えついたのが、請願だった。
日本政府に核禁条約への署名・批准を求める意見書の提出を、地元の埼玉県加須市議会に促す手続きだ。請願が採択されると、議会は国会などへ意見書を提出することになる。地元を代表する議会の総意として意見を届けることは決して小さくないと考えた。
請願を提出するには紹介議員…