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進むワクチン技術開発 専門家に聞く、2050年に開かれる未来とは

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瀬川茂子
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 新型コロナウイルスのワクチンの急速な開発は、積み重ねられてきた医療技術の進歩の結果だった。ワクチン技術のさらなる開発が進めば、どんな未来が開かれるのだろうか。ワクチンの専門家である東京大医科学研究所の石井健教授に聞いた。瀬川茂子

     ◇

 偽の病原体を免疫系に記憶させて、本物の病原体に備える予防薬がワクチンだ。新型コロナウイルスのワクチンは、1年足らずで実用化し、生命科学の急速な進歩に注目が集まった。このまま科学技術が発達していくと、2040~50年ごろのワクチンはどうなるのだろう。

 「ワクチンは歴史上、最も成功した予防薬で、人類を苦しめた感染症に対して開発されてきました。将来は、すべての病気に対して予防薬としてのワクチン開発が進むでしょう。がん、アレルギー、アルツハイマー病など、さまざまな病気になる前にワクチンで予防できる時代がくる。20年後の夢ではなく、現実に起こることだと思います」

 ワクチンによって、免疫系の働きを強めてがん細胞を攻撃する「がんワクチン」はすでに臨床研究が始まっている。病気の仕組みを解明し、悪さをしそうな原因物質や細胞を特定し、発病前にワクチンでそれらを壊すことなども考えられるという。

 そのワクチンは、今回のコロナ禍で脚光を浴びた、たんぱく質の設計図を体に送り、体内でたんぱく質を作らせるmRNAワクチンなのだろうか。

 「mRNAワクチンもさまざ…

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