再審無罪、異例の和解勧告も協議打ち切り 東住吉女児焼死で大阪地裁

米田優人
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 大阪市東住吉区で1995年、女児(当時11)が死亡した火災を巡り、殺人罪などで無期懲役が確定した後に再審無罪となった青木恵子さん(57)が国と大阪府に損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁(本田能久裁判長)は21日、和解協議を打ち切った。青木さんの弁護団によると、国と府が地裁の和解を拒んだという。

 青木さんは地裁の再審で2016年、捜査段階での自白は誘導された疑いがあるなどとして無罪判決を受け、確定。違法な取り調べで自白を強要されたとして提訴した。国や府は違法な捜査はなかったと反論して結審。地裁は昨年11月、異例の和解を勧告した。

 地裁は勧告で、青木さんは逮捕から約21年間、身柄を拘束されて深刻な被害を受け、今も苦しみ続けていると指摘。刑事手続きに関わる全員が再発防止に向けて取り組むべきだとした。府警が相当な精神的圧迫を加える取り調べをしたことは明らかで、検察官についても「証人尋問に関する対応には大いに疑問がある」と批判。国と府に一定の和解金を支払うよう求めた。

 青木さん側は和解に応じる意向だったが、国側は和解協議に出席せず、府側は国の方針に従う姿勢を示したという。地裁は和解が難しいとみて、3月15日に判決を言い渡すことにした。

 青木さんは、弁護団を通じて「裁判所がこれだけ審理をして和解を勧告したのに(国と府が)応じないのは裁判所を馬鹿にしている。冤罪(えんざい)をなくす気持ちがなく、冤罪をまだまだつくるという宣言だ」とするコメントを出した。(米田優人)

青木恵子さんの訴訟の経緯

1995年7月 大阪市東住吉区で住宅火災が発生。女児(当時11)が焼死

   9月 母親の青木さんが殺人容疑などで逮捕される

 99年5月 大阪地裁が無期懲役の判決

2006年12月 最高裁が上告棄却(判決確定)

 09年8月 地裁に再審請求

 12年3月 地裁が自然発火の可能性を認め、再審開始を決定

 15年10月 大阪高裁が決定を支持。釈放される

 16年8月 地裁で再審無罪判決(確定)

   12月 国と大阪府に損害賠償を求めて地裁に提訴

 21年9月 地裁で結審

   11月 地裁が和解を勧告

 22年1月 地裁が和解協議打ち切り