FRB、デジタル通貨の議論開始 米中対立が通貨分野にも影響か

ワシントン=青山直篤
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 米連邦準備制度理事会(FRB)は20日、将来、中央銀行がデジタル通貨(CBDC)を発行する際の論点を整理した初の報告書を公表した。中国が今年の発行を予定する「デジタル人民元」や、暗号資産(仮想通貨)など民間のデジタル通貨との競争を見すえ、「デジタルドル」の議論を本格化させる。

 報告書では、FRBが想定するCBDCとして、FRBに個人が口座を開設するのではなく、デジタル人民元と同様に民間銀行などの仲介機関を挟んで発行する形式を想定。国際送金の利便性やドルの国際的役割の保持などの利点とともに、金融システムの安定性と金融政策に与えるリスクについても明記した。

 米国は、2月の北京冬季五輪にあわせたデジタル人民元の発行準備を進める中国に比べ、CBDCには慎重姿勢を保ってきた。米ドルが既存の通貨秩序で圧倒的優位にあり、FRBが米国民や議会による民主的なチェックを重視するためだ。報告書は「最終的に米国にとってCBDCが望ましいか立場を示すものではない」とも述べ、具体的な議論は米議会や政権に委ねる姿勢を強調した。

 中国当局がデジタル人民元を通じ、急速に発達した中国のデジタル決済企業を統制し、決済データを独占することへの懸念もある。報告書は中国への直接的な言及は避けつつ、「消費者のプライバシー保護も決定的に重要だ」と強調した。

 米ドルは依然、各国政府が持つ外貨準備などで圧倒的な地位を保ち、ドル資産の凍結などの金融制裁という強力な外交手段にもなっている。報告書は「(他国の)新しいCBDCが既存の米ドルより魅力的になれば、ドルの国際的な利用が減るとの見方もあり、CBDCはドルの国際的役割を保つのに役立つ可能性がある」と述べた。5月まで米国民から意見を募る。(ワシントン=青山直篤)