ロックダウンの中国で「みにくいアヒルの子」 読書サロンの問いかけ

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編集委員 吉岡桂子
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記者コラム 多事奏論

 中国の西安に「知無知」という文化サロンがある。古代ギリシャの哲学者、ソクラテスの「無知の知」から借りた名前だ。

 店の主は、諶洪果(チェンホンクオ)さん(47)。開業してまもなく7年になる。もともと地元の大学で法律と社会のあり方について教える人気副教授だった。習近平(シーチンピン)政権になったころから自由に教えられる幅が狭まり、嫌になって辞めた。サロンに場所を移して、頻繁に読書会を主宰している。

 「時代や社会の主流に対して距離をもって考える人々を育てたい。対抗や反抗というよりも、権力と一体化しない距離感。自省する力を培うための読書です」

 唐の都、長安として栄えた西安らしさを感じて訪ねた3年前、そう話していた。ソクラテスやマキャベリ、ホメロスやシェークスピアなど哲学や文学の古典を中心に読む。参加費は数十元(数百円)。高校生から70代まで数十人が集う。中国共産党が好まない政治的な本は選ばずとも、考える力は養える、と言う。「読書には、今の自分の考えを壊して変えていく力がある。知識を装うことではない。本当は権力にとって怖い行為ですが」

 新型コロナウイルスの感染拡大で、西安はロックダウン都市封鎖)が続く。4日にはオンラインで開いていた。

 選んだ本は、アンデルセンの「みにくいアヒルの子」。いま、なぜ?

 久しぶりに連絡をとってみた…

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