元横綱白鵬の指摘が勝因? 助言通りに立ち合い変えた明生が横綱撃破

松本龍三郎
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 初場所12日目、小結明生が横綱照ノ富士を破った結びの一番。明生がそれまでの立ち合いを、少し変えていたことにどれだけの人が気付いただろうか。

 実は、前日11日目のテレビ解説で元横綱白鵬間垣親方が明生の相撲についてこんな指摘をしていた。

 「いつも明生の相撲を見ていて、(立つ際の)両足の幅が広すぎる。立ち合いが中腰で腰が割れていないから、立ち合いがどうしても軽くなってしまう感じがする」

 明生は相手に手を先につけさせてから、自身は両こぶしを同時に「ちょん」とつけて立つ。初日から11日目まで全て同じ動きだった。

 間垣親方は、改善のポイントも挙げていた。「両手をちょんづけなんですね。これを、しっかり片手をついて。(そうすると)腰が割れて、ちょっと(足の)幅を狭くすると、次のワンツーがでてくるんですよ、足が」

 この言葉を知ってか知らずか、明生は翌日の照ノ富士戦で立ち合いを変えた。相手より先に左こぶしをつけ、腰を下ろして静止した状態で待つ。右こぶしを下ろすと同時に踏み込んだ。

 相撲内容はご存じの通り。右ののどわで横綱の体を起こすと、さがりをつかんだまま前に出てきた相手を肩透かしでさばいた。

 照ノ富士にいつものような冷静さがなかったことも、勝敗を分けた要因だろう。ただ、わずかでも焦りを誘ったとしたら、それは明生に立ち合いの勢いがあったからではないか。

 明生は、持病の腰痛が悪化し、決して本調子ではなかった。それでも、元横綱の言葉通りの立ち合いに変えて殊勲の星を手にした。改めて、間垣親方の眼力に驚かされる一番だった。(松本龍三郎)