実績か無責任か 辺野古移設に絡む予算、子育て支援活用めぐり舌戦

沖縄・本土復帰50年

光墨祥吾、福井万穂
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 投開票が23日に迫る沖縄県名護市の市長選で、政府が市に支出してきた米軍基地に絡む予算が、現職と新顔の対立軸に浮上している。普天間飛行場(同県宜野湾市)の辺野古移設など、基地の負担を受け入れる全国の自治体に支払われる米軍再編交付金だ。

 交付金は、在日米軍の再編計画に伴い、新たな施設や訓練を受け入れる自治体に対し、着工など進捗(しんちょく)に応じて政府が支給する。自治体は地域振興など、幅広く活用できるのが特徴だ。

 名護市には、辺野古移設を前提として「容認」市長時代の2007年度に交付がスタート。10年に「反対」市長が誕生すると停止され、18年に現在の渡具知武豊氏(60)が就任すると再開された。渡具知氏は「国と県の裁判を見守る」として賛否を明言していないが、政府は再開にあたって「前市長は辺野古移設に反対した。現市長は賛成でも反対でもないので、交付することが再編の円滑な実施に資する」(沖縄防衛局長)などと説明した。

 渡具知氏はこの4年、再編交付金を使い、学校給食費保育料、子ども医療費の無料化を進めてきた。20年度は交付金約15億円のうち、約7億1千万円を充てた。市長選では前回同様に自民、公明の推薦を受け、政府への予算要求を地域振興につなげると強調。「子育て支援の『三つの無償化』は、名護市だけしかできない大きな事業だ」と訴えの中心に据える。

 一方、前市議で新顔の岸本洋平氏(49)は、移設反対を掲げ、子育て支援策について再編交付金に頼らない無償化実現を公約する。玉城デニー知事が応援し、立憲民主、共産、れいわ、社民、沖縄社会大衆が推薦する。

 岸本氏が当選すれば、政府が支給を再びストップする可能性がある。これを踏まえ岸本氏は、再生可能エネルギーの活用による市の光熱費削減や、ふるさと納税の倍増で予算を確保するとして、三つの無償化の予算規模は「市の一般会計の約1・5%程度に過ぎない」と主張する。

 舌戦は終盤にかけて熱を帯びている。渡具知陣営は、岸本氏の主張について「安定的に約7億円の財源を政策に充てることは簡単ではない」と語る。岸本陣営は、渡具知氏が辺野古移設の賛否を明言しないまま再編交付金を受け取っていることについて、「無責任だ」と訴える。

 市長選は、23日の投開票。選挙人名簿登録者数は15日時点で5万561人。(光墨祥吾、福井万穂)