デジタル通貨 加熱する国家間競争 専門家がみる各国の思惑
聞き手・稲垣千駿
米連邦準備制度理事会(FRB)が20日、中央銀行デジタル通貨(CBDC)を発行する際の論点を初めて報告書にまとめた。各国の中銀が競ってCBDCの研究開発を進めているのはなぜなのか。日本銀行出身で野村総合研究所の石川純子主任研究員に聞いた。
CBDCをめぐる動きが活発な背景には、規制や監督が不十分なまま、民間主導でデジタル通貨の導入が進めば、金融システムの安定を揺るがしかねないという危機意識があります。加えて、自国発で優れたものを出して世界標準になろうという技術の競争、自国通貨を普及させる通貨間競争という側面もあります。
導入には時間がかかるため、設計や国際取引の議論に最初から関わらないと対応に遅れ、自国の経済や金融が不利益を被るリスクが非常に大きいという危機感もあるかと思います。
「デジタル人民元」の導入に…