中津伝統の「北原人形芝居」 小学生も練習、コロナ禍乗り越え

貞松慎二郎
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 鎌倉時代から700年以上の歴史を誇る人形芝居が大分県中津市で伝承されている。県指定無形民俗文化財の「北原(きたばる)人形芝居」。2月6日、北原地区にある原田神社の「万年願(まんねんがん)」で2年ぶりに奉納される予定だ。大人に加え、地元の市立三保小学校人形劇クラブの練習も大詰めを迎えている。

 14日夕、三保小近くの三保交流センターでクラブの練習があった。この日は6年生と5年生の計8人が参加。本番の舞台をイメージしながら、北原人形芝居保存会の顧問、沢村大助さん(80)ら会員3人がていねいに指導した。

 奉納予定の6幕のうち、児童たちが演じるのは第2幕「傾城(けいせい)阿波の鳴門 巡礼歌の段」。親子の生き別れを描く悲しい物語だ。登場する人形は母親「お弓」、娘「お鶴」、飛脚の3体。浄瑠璃の語りに合わせて、1体を3人で操る。人形1体の重さは4キロほど。お弓の頭を担当する6年の重松杏里さん(12)は「出番が多いのでやりがいがある。手が疲れて下がらないようにしたい」。

 北原人形芝居の始まりは、こう伝えられている。鎌倉幕府で執権を務めた北条時頼が諸国を巡歴中に中津で病に倒れ、村人の献身的な看病で回復。全快祝いの席で、村人が手の甲に目鼻を描き、余興として演じたところ、時頼はこれを称賛したという。江戸時代に浄瑠璃を取り入れた。

 地域の伝統芸能を学ぼうと、三保小に人形劇クラブが発足したのは1969年。小学校に人形芝居のクラブがあるのは全国でも珍しい。毎年2月の第1日曜にある万年願が晴れ舞台だが、コロナ禍で昨年は中止。今年度も本来5月から始める練習がかなわず、10月から月2~3回のペースで稽古を重ねた。

 クラブの部長で6年の自見茜(あかね)さん(12)は「(3人1組で)息を合わせるのが大事」と言い、なめらかな手の動きを意識しているという。「最後の集大成として、大人に負けないくらいの演技をしたい」と話す。本番ではクラブの児童総勢10人が出演する。

 22日に地区の役員らが集まり、奉納の規模などを話し合う。沢村さんは「伝統芸能を学ぶことで地域に貢献できるような人材に育ってほしい。やる以上は感動を与えるような演技を期待したい」。貞松慎二郎