飛鳥地方の遺跡、発掘調査の成果ずらり 奈文研飛鳥資料館

米田千佐子
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 奈良文化財研究所飛鳥資料館(奈良県明日香村奥山)の冬期企画展「飛鳥の考古学2021」が21日始まった。中尾山古墳や飛鳥京跡苑池(えんち)など飛鳥地方の11遺跡の19、20年の発掘調査と、今春復元整備が終わる牽牛子塚(けんごしづか)古墳を、パネルや出土品など約200点で紹介している。

 牽牛子塚古墳(明日香村)は17年度から続く復元整備工事が今春完了し、築造当時の八角墳がよみがえる。対辺約22メートル。二つのひつぎが置かれていたとみられ、斉明天皇と娘の間人皇女(はしひとのひめみこ)の墓という説がある。

 同古墳から出土した「夾紵棺(きょうちょかん)」という最上級品のひつぎのかけらがずらりと並ぶ。内側と外側の両面が残るかけらは厚さ約2・5センチ。布約35枚が漆で固めながら重ねられた。いずれも花がモチーフで、ひつぎを飾ったとみられる飾(かざり)金具やひつぎに取り付けられていた金具も展示され、華やかな様子を伝える。会場では、200分の1スケールの同古墳のペーパークラフトも配布される。

 島庄遺跡(同)の出土品は、縄文土器から中世の土器まで幅広い。縄文から中世に至るまで人が暮らした「複合遺跡」と改めて確認された。藤原京左京八条三坊(橿原市)から出土した弥生時代のつぼや藤原京時代のすずりなども並ぶ。弥生時代~藤原京時代の川の跡が見つかり、川の埋立土や整地土から藤原京時代のすずりや土器が出た。中世の建物跡などから、鎌倉時代創建とされる法然寺を中心に周辺が発展したと考えられるという。

 約46年ぶりの調査で構造が明らかになった八角墳の中尾山古墳(明日香村)は、石室内の埋蔵施設の様子が約2分半の動画で見られる。飛鳥京跡苑池(同)の北池の調査結果もパネルで紹介される。一部のパネルについたQRコードから、現地説明会で配布された資料のデータを見られる。

 めぼしい遺構が見つからなかった遺跡も紹介する。企画展を担当する同館の石田由紀子主任研究員は「考古学は地道な発掘調査の積み重ね。地道な調査が牽牛子塚古墳のような大きな復元につながっていく。縄文から中世まで、幅広い時代の移り変わりを想像してほしい」と語る。

 同館、奈良県立橿原考古学研究所、明日香村教育委員会が主催。3月13日まで。月曜休館。無料入館日の2月6日をのぞき、一般350円、大学生200円。高校生以下と70歳以上は無料。問い合わせは同資料館(0744・54・3561)。(米田千佐子)