南極海底に「世界最大」の繁殖地 コオリウオの巣、ずらり6千万個

小堀龍之
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 南極海の深海で、コオリウオと呼ばれる魚が産卵のために掘った巣が無数に集まる巨大な繁殖地が見つかった。ドイツの研究チームが水中カメラで調べたところ、巣は周辺の海底に推定約6千万個もあるという。チームは「魚類の世界最大の繁殖地だ」としている。

 ドイツのアルフレッド・ウェゲナー極地海洋研究所(AWI)のチームが、科学誌カレントバイオロジーに発表した。

 コオリウオは南極付近に生息する固有種で、赤血球をほとんど持たず、血液が透明なのが特徴。今回、繁殖地が見つかったのは体長約60センチになる「カラスコオリウオ」という種だ。

 研究チームは、南極のウェッデル海南部で調査船から水中カメラを投下。水深535~420メートルの海底で、親魚が卵を守る巣が規則正しく並んでいるのを見つけた。

 巣は深さ約15センチ、直径75センチの円形で、泥を掘った中に平均約1700個の卵が入っていた。研究チームは、カメラで約4万5千平方メートルの範囲を調査し、約1万6千個の巣を発見。密度や分布などから推定すると、周辺240平方キロの海底に約6千万個の巣があると考えられるという。

 また、周辺に生息するウェッデルアザラシに送信機をつけて調べたところ、アザラシの潜水活動の90%が魚の繁殖地に重なっていた。魚をエサにしているとみられる。

 研究チームは、今回発見した繁殖地が南極の生態系にとって重要な場所だと指摘する。AWIのアンチェ・ボエティウス所長は「海洋保護区の設置に向けた取り組みの必要性がより一層明らかになった」としている。

 論文が科学誌のサイト(https:/doi.org/10.1016/j.cub.2021.12.022)に掲載された。(小堀龍之)