めざすは松井秀喜 図工と書写教える小学校教員が大リーグに挑む

マハール有仁州
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 担当教科は図工と書写。バットとグラブを毛筆に持ち替えて教壇に立っている。そんな「松田先生」が大リーグに挑戦することになった。

 プロ野球の独立リーグ、BCリーグの茨城アストロプラネッツに所属する松田康甫投手(23)が大リーグ・ドジャースとマイナー契約を結んだ。ヤンキースで活躍した松井秀喜さんに続く、北陸出身の大リーガーになれるか――。地元の石川県で喜びと期待の声が上がっている。

普段の姿とギャップ「本当なのかな」

 松田投手は小学校の非常勤講師でもある。昨年9月から石川県野々市市立富陽小学校で週4日、2~6年生の児童を教えている。担当するのは体育ではなく、図工と書写だ。おおらかで人なつっこく、子どもたちにも人気の先生だという。

 「すごい人だったんだ」。同校の中野淳子校長(57)は、昨秋には大リーグ挑戦の可能性を本人から聞かされていたという。だが、休憩時間には暖房の近くで、たわいもない話をする普段の松田投手の姿とのギャップに「本当なのかな」と半信半疑だった。

 松田投手は、高校、大学と華々しい活躍をしたわけではなかった。中野校長は「それでも『世界一速い球を投げる』と言い続けていたことを、子どもたちは知っているので、夢を持って地道に努力することの大切さを見せてくれた。これからも前向きに頑張ってほしい」とエールを送った。

 一方、「驚いたが、身近で見てきた分、実感がわかない」と話したのは、母校・金沢高の武部佳太監督(40)。武部監督は「高校時代から日記に『世界一の選手になりたい』とずっと書いていた」と語る。

 武部監督は、松田投手が在校した2014~16年度、野球部の責任教師で、クラスの担任でもあった。松田投手は制球や球速が伸び悩んだ時期もあったが、190センチ超の長身から140キロ台の直球を投げ下ろす投手に成長。3年生の夏の高校野球石川大会で、エースナンバーをつかみ取ったという。

 「大学やプロで試合に出られなくても、腐らずに頑張っていた。大リーグに行くことそのものよりも、大変な世界に飛び込んでいく姿が一番うれしい」と、教え子の飛躍を喜んだ。(マハール有仁州)