核廃絶、バラに願い込め 学生と被爆者、新種「ICAN」植樹

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 【神奈川】核兵器禁止条約の発効から22日で1年になるのを前に、明治学院大学横浜校舎(横浜市戸塚区)で20日、学生と被爆者核兵器廃絶を願う新種のバラの苗を植樹した。条約がうたう核兵器の非人道性や、核廃絶を願う被爆者の思いを伝えていきたいとの思いを込めた。

 新種のバラの名は「ICAN(アイキャン)」。条約を推進して2017年にノーベル平和賞を受賞した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」が由来だ。活動に心を動かされた広島被爆者の田頭数蔵(たがしらかずぞう)さん(92)=広島県廿日市市=が品種改良した。田頭さんは「春には、やさしいピンク色の花びらが70枚くらいつく自信作。激しい赤ではなく平和の色です」。

 同大学サークル「Peace☆Ring」の学生らが、バラ園を営む田頭さんから苗5本を取り寄せた。長崎被爆者で同大学英文科卒業生の和田征子さん(78)=横浜市=とともに植樹した。同校舎内には「被爆アオギリ」や「アンネのバラ」も植えられている。

 国際学科1年の本間のどかさん(19)=埼玉県朝霞市=は「広島・長崎出身の人と話すと、核問題に対する精神的な境地が違うと感じる。私も被爆者の方とお会いするようになってから変わった。このバラを通じて、首都圏にも核兵器廃絶を願う被爆者の方々の願いが広がってほしい」。

 和田さんは日本原水爆被害者団体協議会日本被団協)事務局次長として、17年にニューヨーク国連本部で開催された条約交渉会議に参加した。条約前文がうたう「核兵器使用の被害者(ヒバクシャ)らにもたらされた受け入れがたい苦しみ」のうち、当初の草案にはなかった「受け入れがたい(unacceptable)」という文言が、外交官やNGOの熱意で後から挿入されたエピソードを学生らに紹介。「条約によって、ようやく核兵器の非人道性に目が向けられるようになった。自分たちの国のことばかりを考えるのではなく、ICANのバラを通して、平和につなげていってくれればうれしい」と語った。

 植樹を見守った同大学国際平和研究所長の高原孝生教授(国際政治学)は「権力政治のゲームを超えて、被害者の観点から核兵器を見つめる『人道的アプローチ』から生まれたのが核禁条約。バラを育てながら、学生たちにはそのことを引き継いでいってほしい」と話した。

 核禁条約は17年に122カ国の賛成で採択。50カ国の批准をへて、昨年1月22日に発効し、これまでに59カ国・地域が批准した。3月22~24日にオーストリア・ウィーンで第1回の締約国会議が予定されている。核保有国や米国の同盟国は批准していないが、米国と同盟関係にある北大西洋条約機構(NATO)のドイツが締約国会議にオブザーバー参加を表明。日本政府の動向が注目されている。田井中雅人

核といのちを考える

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