密林に入れば俊足、大けがしたら励まし 横井庄一さんの「生きる力」

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編集委員・伊藤智章
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 敗戦後もグアム島の密林に潜んだ元日本軍兵士・横井庄一さん(1915~97)が、現地で住民に「発見」されてから、24日で丸50年となった。まだ戦争の傷痕が深いなか、帰国は熱狂的に迎え入れられた。いまは、帰国当時すらよく知らない女性たちが生涯を語り継ぐ。伝えたいのは、困難を乗り越えた「生きる力」だという。

終戦後もグアム島で逃亡…72年に「発見」

 グアム島の旧日本軍は1944年8月に玉砕した。翌年の終戦後も横井さんは逃亡を続け、72年1月24日、住民に見つかった。帰国時、「恥ずかしながら生きながらえて帰ってきました」という言葉は、捕虜になることを禁じた旧日本軍の命令を思い出させ、大きな話題になって同情を誘った。

 当時の朝日新聞記事によると、帰国した同年2月2日の羽田空港には3千人が出迎えた。同年11月に結婚した妻美保子さん(94)は、2人で新幹線に乗ると、反対側のホームからも手を振られ、人だかりができたことを覚えている。ただ、励ましだけではなく、「なぜ自分だけ帰ってきた」と戦没者遺族からの夜の電話も絶えなかった。

 美保子さんは、帰国時に全国から寄せられた見舞金で建てた名古屋市中川区の自宅を2006年に改造し、記念館を開いた。「皆様にお返しを」という横井さんの遺志を引き継ぎ、一時は1日500人もの来館者に対応した。だが高齢にコロナ禍が重なり20年から休館。京都市内の親戚宅にいる美保子さんは「帰るのは難しい」状況という。

 でも、横井さんを忘れない人たちがいる。

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