ポケットマネー2億円で球場建設 筒香嘉智の思い 故郷・和歌山へ

山口史朗
[PR]

 ポケットマネーで故郷にスタジアムを――。

 大リーグ・パイレーツの筒香嘉智外野手(30)が、故郷の和歌山県橋本市に天然芝の野球場などを建設中だ。まず、併設する室内練習場(25メートル四方)がこのほど完成。22日にオンラインで会見を開き、「個人で球場設立」という行動を起こした思いを語った。

 「両翼100メートルの球場のほか、内野フィールド、小体育館を建設する予定です。球場と内野フィールドには天然芝を張り、子どもたちが思い切りボールを追いかけられるようにしたいです」

 天然芝こそ、今回の球場建設の大きなこだわりの一つだ。

 モデルとしたのは、ドミニカ共和国のスタジアム。2015年のウィンターリーグで訪れた異国の野球は、自身の野球観に大きな影響を与えたという。現地の子どもたちが、でこぼこした土と天然芝の球場で白球を楽しそうに追う姿が印象的だった。

 「天然芝は僕がアメリカでプレーしていても、不規則なバウンドが多い。予想がつかないことを想定して守るから、先を読むことにもつながる。(人工芝に比べて)体への負担も減る」。上のレベルで野球をする上でのアドバンテージになると考えた。

 今年中の完成を目指す球場など、敷地の総面積は約3万平方メートル(予定)。総工費の約2億円は、大リーグで活躍する自身の給料から支払う。

 同時に、子どもたちのための「筒香スポーツアカデミー」を設立し、学童保育やスポーツ教室を運営する予定。また、小学生の野球チームも作るという。

 ここ数年、筒香はシーズンオフのたび、野球界に様々な提言をしてきた。

 勝利至上主義からの脱却、高校野球における飛びすぎる金属製バットの弊害、子どものころから練習をさせすぎることによるケガの心配……。

 細かい技術や厳しすぎる指導よりも、まずは子どもたちが楽しく、のびのびとスポーツに親しむ環境こそが大切だと訴えてきた。

 そうした環境が、「自ら考えて行動する力」を育むと信じている。

 アカデミーの理念は「これから周囲の方と話し合って決めていく」と言うが、目指すところははっきりしている。

 「世界で活躍する人たちが多くここから巣立つことを願う。そして、橋本市に住みたいという方が多くなり、橋本市が盛り上がり、和歌山県から素晴らしい子どもたち、将来活躍する人材が出ていくようなアカデミーにしたい」山口史朗

  • commentatorHeader
    平尾剛
    (スポーツ教育学者・元ラグビー日本代表)
    2022年1月26日8時43分 投稿

    【視点】現役選手でありながら次世代を担う子供たちのために私費を投じてスタジアムを建設する。筒香嘉智選手のこの行動には頭が下がる思いである。 ほとんどのプロスポーツ選手は自身の活躍が子供たちに与える影響は自覚している。だが、トップ選手に至るまで

  • commentatorHeader
    稲崎航一
    (朝日新聞編集委員=スポーツ、野球)
    2022年1月23日11時42分 投稿

    【視点】兄弟で故郷のスポーツ活性化、子どもたちの育成に貢献――。 筒香選手の兄・裕史さんも和歌山県橋本市で、幼児・小中学生世代を対象に体力向上を主目的としたスポーツアカデミー「Go estudio sports academy」を運営していま